大いなる遺産のあらすじ・作品解説
大いなる遺産は1998年に公開されたアメリカの映画でチャールズ・ディケンズ作の同名小説による2度目の映画化である。 幼い頃からの絵の才能を開花させた若き画家・フィンを「生きてこそ」のイーサン・ホークが演じ、「ゴッド・ファーザー」のロバート・デ・ニーロが少年時代のフィンに命を救われ物語のキーパーソン的人物となる脱獄囚役を演じている。 「リトル・プリンセス」と「ゼロ・グラビディ」のアルフォンソ・キュアロンが監督を手掛けている。 配給元は20世紀フォックスでアメリカでの興行収入は5549万ドルとなっている。 なお、劇中に登場するフィンの絵画は有名画家のフランチェスコ・クラメンテが手掛けている。 この作品は、幼い頃から備わっていた絵の才能を開花させ、ニューヨークで若手画家として大きな成功を収めた若い画家・フィン(フィネガン・ベル)の人生を大きく変えた脱獄囚・お金持ちの老婦人・老婦人の姪との日々を描いた物語となっている。
大いなる遺産の評価
大いなる遺産の感想
映像の美しさと音楽の美しさを両方兼ねそろえた芸術品
冒頭の映像の美しさこの映画は主人公であるフィンが海の中で魚をスケッチしているシーンから始まる。遠浅の海を泳ぐ魚、それを狙って低く飛ぶ海鳥…そういった風景が遠く広く映し出される。何か言うとカメラが近い!と思わせる映像が多い中、これはまるで一枚の写真としても十分満足させられそうな美しいシーンが強烈に印象的だった。この映画は全体を通して、どこで止めてもその一コマが芸術的で、そのストーリーの神秘性を増幅させているように思う。また言葉でさえ必要以上なものはない。フィンが助けた脱獄囚は始めこそ危険な風ではあったが、「爪をかむな」のあの言葉。あの言葉だけで、この脱獄囚がただの悪者ではないことを雄弁に語る。こういった余計な説明のなさ、秀逸なカメラワーク、芸術的な映像、こういったもののない映画が最近どれだけ多いことか。この映画もそういう意味で、さほど面白くない映画を観た後に口直しとしてよく観ている。老婦...この感想を読む
悪女に振り回される主人公
チャールズ・ディケンズの小説ということで興味を持ったが、この映画を観て思ったことは、主人公は女に振り回されすぎ!ということでした。その女性エステラもとにかく気まぐれで感情がない冷たい女性で、一体主人公とどうなりたいのかが最後までよくわからなかった。主人公は姉夫婦に育てられ、元々身分が低く、将来は姉の旦那の職業の鍛冶屋を継ぐことが当たり前だと思って生活していたが、ある日富豪の家に呼ばれ、さらにエステラに会ったことで、彼が思い描いていた人生ではなくなった。それからジェントルマンとして育てられ、莫大な遺産を相続することになる、と言われる。そしてエステラは主人公の前に現れたりそうかと思えば姿を消したり、、、こんな怪しい人生、なんで主人公は迂闊に話に乗ったのだろうと思った。エステラへの恋心故なのだろうが、こんな悪女放っておけばいいのにと思ってしまった。富豪になったことで彼は得たものと失ったものが...この感想を読む
人生の有為転変
これはディケンズの小説して現代に翻案したものだそうですが、現代に綺麗に溶け込んでいて全く違和感がありません。これ単体で独立した作品として見れるでしょう。少年が海で脱獄囚を助ける衝撃的な場面から始まります。絵が得意な少年は姉と二人暮らしでしたが、ある時近所の大富豪の女性の姪の遊び相手に雇われ、人生の恋の相手にめぐりあいます。しかし彼女とは身分も違い、ヨーロッパに旅立たれてしまいます。彼は絵を後見してくれる匿名の人によって助けてもらって立派な画家としてデビューしますそこで再びあの女性と知り合い、大人になった二人の物語が開始します。ラストに衝撃的なオチがあります。また予想ができない展開が二転三転と続きます。これは物語によって人生そのものを大きく描いていた作品という気がします。普通の連載テレビラマが短く凝縮されたような味わいがあります。