告白のあらすじ・作品解説
告白とは、2010年に公開された映画で、原作は、2009年に本屋大賞を受賞した湊かなえの同名小説である。本屋大賞だけでなく、「週刊文春2008年 ミステリーベスト10」や「Amazon Best Books of 2010」などで1位を得るなど、2015年時点で、350万部を超える発行部数を誇るベストセラーである。 この映画は、教え子に愛娘を殺された中学教師がその真相を探り、自らの手で復讐していく姿を描くサスペンス映画である。学級崩壊・13歳の殺人者・教師による復讐という刺激的な要素を含んでいるものの、名作『下妻物語』『嫌われ松子の一生』の中島監督と松たか子が狂気的に演じる中学教師により、緊張感と重厚感のあふれる映画となっている。第34回日本アカデミー賞では、最優秀作品賞・最優秀監督賞を始めとし、4部門で最優秀賞を受賞した。2014年には、英語訳された書籍『CONFESSIONS』がアメリカやイギリスなど英語圏の国々で発売され、世界的に注目を浴びる。
告白の評価
告白の感想
最後の最後までオチが分からない湊かなえさんらしい作品
映画「北のカナリアたち」やドラマ「夜行観覧車」などの原作でも知られている湊かなえさん原作らしい、最後の最後までオチが読めない体の真からゾクゾクする感じはさすがだと思います。当時、各映画賞を総なめにしただけあって物語の構成から、キャストの演技まで非常に練り込まれていてあっという間の2時間だったように思えます。特に主演の松たか子さんの演技は凄い。顔に表情がなく何を考えているのかが分からない女教師を演じていたのですが、本当に上手に演じていてさすがのサラブレッドだと思います。「告白」がはまった人は映画ではないですが、WOWOWで放送されレンタルもしている小泉今日子さん主演の「贖罪」もかなり面白いのでおススメです。
復讐劇
松たか子のほとんど感情が現れない表情がとても怖く、心に抱える深い闇をよく出しているなと思いました。さすがです。森口先生が自分の小さな娘をクラスの生徒に殺され、眉一つ動かさず復讐する様は本当に怖かったです。元々荒れていたクラスが、森口先生の復讐によって、その恐怖を隠すように一つになり、そして森口先生の娘を殺した生徒2人へのいじめへ形を変えていく。悪事を働いた人間を集団で糾弾する姿をネットでもよく見かけますが、彼らとこのクラスの生徒がダブって見えた人もいるのではないでしょうか。自分が正義を行っていると思い込み、人を崖っぷちへ追いやって行く。何の解決にもならないのに。とても怖い映画でした。木村佳乃が演じていた娘を殺した生徒の母親役も怖かったなぁ。松たか子も木村佳乃もいい女優さんだと思います。
現代社会の心の闇。
シングルマザーの女教師、森口が教室で語りだした事実。それは、学校のプールで事故死したと思われていた彼女の娘が、このクラスの生徒に殺されたというもの。そして、彼女は恐ろしい復讐を残して学校を去った・・・冒頭から、松たか子さんの淡々とした語りが始まります。この語りが冷静すぎて、怖い。映画の表面だけを見れば、彼女のただの復讐劇のようですが、テーマは人間の心の闇の部分を深く描いているような気がしました。色々なものが欠如している現代の人間は、それを他者で埋めようとしながらも肝心なところで拒否して相入れない。それが、精神を病ませ、やがて人を殺すという行為に繋がる・・・過剰演出な部分もありましたが、色々なことを考えさせる作品でした。