夢判断のあらすじ・作品解説
夢判断とは阿刀田高によるショートショート作品。1980年に新潮社より単行本が出版され、1983年に文庫版が発行された。 本作には赤い色の夢を見ると、その夢が必ず実現される青年の話を含め、全部で14編の物語が収録されており、現代人の深層心理を恐怖とユーモアで描いた作品である。登場人物の細かい心理描写や読み応えのあるストーリーが読者から高く評価されており、根強いファンが多く存在している。 本作品の作者である阿刀田高は1964年に、同じく作家の長崎寛との共著の「ころし文句」で作家デビューを飾っている。 1979年には短編の「来訪者」で第32回日本推理作家協会賞を受賞。直木賞作家として多くの人に広く知られる作家の一人となった。 2015年時点で数多くの作品を発表。ちなみに本作の作者である阿刀田は2007年から2011年まで日本ペンクラブ会長を務め、1993年から1997年まで日本推理作家協会理事長を務めた。
夢判断の評価
夢判断の感想
フロイトらしい
集団的無意識とか文学や芸術の分野にも大きな影響を与えたフロイトの作品です。ニューエイジ的なオカルトの思想に都合よく取り上げられるので、なにかそういうオカルトな人みたいなイメージがありますが、実際は著作を読んでみるととても学者らしい理知的な人です。この夢診断もひたすらにまずは自分の夢、そして数えきれないほどの臨床のデータの中から結論を導き出していきます。本当に硬派な学術論文のような感じもしますが、なんとか素養のない私でも読み進めることが出来ました。結局何か意味ありげな夢もほとんどが記憶の混濁であることが多いのだな、とこれを読んでから自分の夢を診断してみて思いました。悪夢に意味を見出せることはほとんどありません。