今の時代に合った表現と清少納言の知性を求む。
当時も寒かった「おっさんによるバブル期の若い女性の言葉」当時(1987年)としてはとっつきにくい古典を分かりやすい口語訳にした書籍として大変注目が集まっていた。それについては画期的という意味では評価できる。分かりやすいのは事実だし、受験生としてはテストの回答欄にはもうちょっと固い言葉での口語訳を書かねばならないにしても、この書籍の砕けた解釈はかなり強い味方になったろう。しかし、やはり女性ではなく中年男性が女性になり切って(清少納言をバブル期の若きイケイケ女性に見立てて)書かれたもののせいか、どうも口調に違和感があり、「表現が寒い」と感じる。今はまた流行り言葉が変わってきているので、「ナウい」という表現ですら失笑されてしまいそうだ。まだ枕草子本文の訳は良しとするにしても、問題なのは、清少納言本人ではなく著者のなりきりによる自称清少納言の前書きと、ちょいちょい本文の話の腰を折る長々とした注釈で...この感想を読む
3.03.0
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