恋愛論のあらすじ・作品解説
恋愛論はフランスの作家スタンダールの随筆。独自の視点で恋愛の性質や発達段階を分析している。 イタリア滞在中、スタンダールは現地で人妻に恋をするのだが、この恋に破れたことをきっかけに恋愛について考察したのが本書である。 スタンダールは恋愛を4つに分類している。それは情熱的恋愛、趣味的恋愛、肉体的恋愛、虚栄的恋愛である。このうち、重要なものは情熱的恋愛であり、その他は恋愛のように見えるが、実は本当の恋愛とは異なるものであるという。 情熱的恋愛では恋愛に必須の結晶化作用が働くのだが、この作用によって私たちは段階を踏んで恋に落ちていく。段階は、1.相手に感嘆すること、2.自問、3.希望、4.恋の発生、5.第一の結晶作用、6.疑惑、7.第二の結晶作用の7つに分かれている。スタンダールはこの結晶作用をザツルブルクの塩鉱に小枝を入れた時の様子に例えている。塩鉱に枯れた枝を入れて2,3ヶ月放置しておいてから取り出すと、美しい結晶で覆われているのだが、同様に恋愛も相手を美化しなければ成立しない。
恋愛論の評価
恋愛論の感想
清々しい恋愛論
最初のうちは「恋」とか「愛」という言葉について語っています、坂口安吾。日本語でいう「恋」とか「愛」と、安吾の知るいくつかの国でのそれや、宗教的な「愛」と、どういう違いがあるのかを結構深く語っているのが面白いです。また日本語というのが多様性に富んでいるが、そうであるが故に万事雰囲気で済ませてしまっているのではないかという指摘は、そこだけ読むと「恋愛と関係あるのか?」と思わずにいられませんが、日本語の特徴をとてもよく表していると思います。英語(その他外国語)と日本語の決定的な違いってそこかもしれないですね。最後に「恋愛は人生の花である」と言い切ってしまっているのもカッコいい。ますます安吾を好きになりました。