祖先がいるから自分がいることを実感
守り人シリーズの中でも、大人の評価が高いと言われている作品ですが、それも納得です。 主人公、バルサが自分の過去と向き合いつつ、精霊との関わりを断絶するような利己的な計画を阻止する物語で、バルサの生い立ちや抱えている闇・哀しみが明らかになっていきます。そして、同じ闇と哀しみを抱えたまま死んだ育ての親、ジグロと、不思議な儀式の中で再開し、互いの思いをぶつけることになるのです。それは、過酷な運命の中で育まれた絆の再確認であり、大切な人を思う気持ちこそが貧しい祖国に富をもたらす宝石の正体であることを知ります。 現実世界にはもちろん、先祖の魂が守る精霊が生み出す宝石はありません。しかし、家族――血のつながりではなく心でつながる家族の絆が自分を支えていることを実感させてくれる一冊です。この世に生を授けてくれたのも、ここまで育んでくれたのも、家族であり、そこに続く先祖であり、自分ひとりで生きてきたわけではない。そう思うと、自分の命を大切にしたくなる一冊です。
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