八日目の蝉は本当に悲しい存在なのか - 八日目の蝉の感想

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八日目の蝉

4.094.09
映像
4.20
脚本
4.07
キャスト
4.33
音楽
3.97
演出
3.83
感想数
16
観た人
21

八日目の蝉は本当に悲しい存在なのか

4.04.0
映像
4.0
脚本
3.5
キャスト
5.0
音楽
2.0
演出
4.5

”たった七日で死んでしまう蝉よりも、八日目の蝉のほうが悲しい。” 主人公の恵理菜はそう言います。 0~4歳までの「薫」として過ごした時間が終わり、実の両親のもとへ帰されたときから、彼女は「恵理菜」として生きなければならなくなった。 本当の母親のために「薫」という存在を殺してしまわなければならなかった。そうすることができたら、彼女自身もどんなにか幸せだろうと思います。 消したくても消せない、自分の中だけで生き続ける「薫」という存在、それが彼女にとっての八日目の蝉なのでしょう。 愛情を持って育てたとしても、彼女に植え付けた深い葛藤や家族関係に及ぼす影響を考えると、やはり希和子のしたことは許されざる行為だと思います。 ただ、悪意からではないだけにとても複雑な気持ちにさせられます。 それは、希和子だけではなく出てくる人間全員に言えることで、みんな何かを守りたいだけなのに、結果的にお互いを傷つけていることがとても切ない。 先にドラマ化されたこの作品、両方見ましたが、ドラマのほうは希和子目線で描かれています。 時間枠が長い分ディテールが細やかな点はドラマのほうがよかったですが、恵理菜目線で描かれたこちらのほうが、より共感度は高かったです。 薫としての自分に決着をつけようとする主人公の姿に感動しました。

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野々宮喜和子と秋山恵津子

犯人である野々宮希和子生後2か月~4歳まで誘拐した「恵理菜」を自分に子どもにつけるつもりであった「薫」と名前を付けて一緒に暮らしていました。希和子は不倫相手でおろした子どもの父親でもある秋山丈博と奥さんの間にできた子どもの顔を見たとたん、自分のおろしてしまった子どもの生まれ変わりと思ってしまったのでしょうか、泣いていた「恵理菜」を抱き上げて連れ去ってしまいました。希和子は薫をとても大切に育てていました。2人で暮らせることをいつも第一に考えていたように思えます。その愛情のかけ方はきっと本当の親子にしか思えないほどだったのでしょう。訪れた先で2人を助けてくれる人がいつもいました。「3つ子の魂百まで」といいますが、ちょうどその時期にしあわせな時間を一緒に過ごした2人だったので、希和子を本当の母親だと思ってしまっても不思議なことではなかったのでしょう。捕まった時希和子は一緒に過ごせた4年間に感謝しま...この感想を読む

5.05.0
  • kilyoukakilyouka
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4.04.0
  • ピッチャーピッチャー
  • 147view
  • 601文字

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