七日で死ぬより、八日目の蝉のほうが悲しいって。私もそう思ってたけど違うかもね。八日目の蝉はさ、ほかの蝉には見られなかった何かを見られるんだもん。もしかしたら、それ、すごくきれいなものかもしれないよね
安藤千草
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八日目の蝉は、角田光代による同名小説を原作とし監督、成島出が映画化し、2011年4月29日に公開された日本映画である。 主人公で生まれてすぐに誘拐される秋山恵理奈役を井上真央、恵理奈の父の愛人で誘拐犯となる野々宮季和子役を永作博美が演じ、そのほかにも田中哲司、小池栄子、余貴美子、風吹ジュンなどが出演している。 季和子が秋山の家へ侵入し、笑いかけた恵理奈を突発的に誘拐してしまうところから物語は始まり、逮捕されるまで3年間逃亡生活を続け、後半は恵理奈が成人してからの葛藤を描いた作品である。 原作では恵理奈には妹がいるが、映画では一人っ子の設定になっていて、他にも原作と映画では細かな違いがある。 第36回報知映画賞作品賞・主演女優賞、2012年エランドール賞プロデューサー賞、第66回毎日映画コンクール女優助演賞をはじめとし、数々の賞を受賞し、2012年の賞を総なめした。 なお映画化される前に檀れいを主役としたテレビドラマ版が放送された。
犯人である野々宮希和子生後2か月~4歳まで誘拐した「恵理菜」を自分に子どもにつけるつもりであった「薫」と名前を付けて一緒に暮らしていました。希和子は不倫相手でおろした子どもの父親でもある秋山丈博と奥さんの間にできた子どもの顔を見たとたん、自分のおろしてしまった子どもの生まれ変わりと思ってしまったのでしょうか、泣いていた「恵理菜」を抱き上げて連れ去ってしまいました。希和子は薫をとても大切に育てていました。2人で暮らせることをいつも第一に考えていたように思えます。その愛情のかけ方はきっと本当の親子にしか思えないほどだったのでしょう。訪れた先で2人を助けてくれる人がいつもいました。「3つ子の魂百まで」といいますが、ちょうどその時期にしあわせな時間を一緒に過ごした2人だったので、希和子を本当の母親だと思ってしまっても不思議なことではなかったのでしょう。捕まった時希和子は一緒に過ごせた4年間に感謝しま...この感想を読む
角田光代原作小説の映画化作品。主人公、恵理菜は幼い頃父親の不倫相手に誘拐され、数年間を彼女と過ごした。その事が原因で両親とも上手くいかず、自分も不倫相手の子供を妊娠してしまう。その時、ジャーナリストを名乗る女性が現れて・・・全体的にかなり重い内容です。ストーリーは恵理菜を誘拐した希和子の過去の逃亡話と、現在の恵理菜を交互に描いています。明らかに罪を犯しているのは希和子で自分勝手な行動をしているはずなのに、ストーリーを追っていくごとに彼女に感情移入してしまい、最後の別れのシーンでは涙がとまりませんでした。母性や愛情とは何なのか、深く考えられられる作品でした。女性は必見だと思います。
私は正直この作品が嫌いです。得点が高いのはあくまで映画としての評価になります。生後間もない赤ん坊だった主人公=恵理菜を発作的に誘拐した、恵理菜の父の不倫相手=希和子の逃亡劇を、大人になった希和子が、様々な葛藤と共に思い返していくという物語。希和子には確かに同情できる背景がある。父親のくずっぷりが一番の原因であることも疑いようのない事だ。しかし、だからといって子供を誘拐していいかと言われればまったくそんな事はありえない。いやまだそこはいい、作品としてはそこは問題ないんだけど、これこそが親の愛だ、という見せ方や、なによりも、観た人の評価が希和子の愛を絶賛するような内容ばかりで辟易する。不倫する父親はクズだが、不倫している自覚があるのに略奪できると考えている考えが浅はかだし、何も知らない子供を、自分の欲望のためだけに浚う行為も浅はか。「私はあなたを愛している」冗談じゃない。浚った相手が全てだ...この感想を読む
安藤千草
小豆島の丘で恵理菜がきわことの思い出を振り返った直後に思い出したように千草が話し出すシーン
野々宮希和子
自身が誘拐し、自身の子供として育ててきた薫を連れ、警察から逃れようとするも、フェリー乗り場にて捕まってしまう。その際、薫と引き離される時に警察に向けて言う母親としての野々宮希和子のセリフ。