インプリティング
私は正直この作品が嫌いです。 得点が高いのはあくまで映画としての評価になります。 生後間もない赤ん坊だった主人公=恵理菜を発作的に誘拐した、 恵理菜の父の不倫相手=希和子の逃亡劇を、 大人になった希和子が、様々な葛藤と共に思い返していくという物語。 希和子には確かに同情できる背景がある。 父親のくずっぷりが一番の原因であることも疑いようのない事だ。 しかし、だからといって子供を誘拐していいかと言われればまったくそんな事はありえない。 いやまだそこはいい、作品としてはそこは問題ないんだけど、 これこそが親の愛だ、という見せ方や、 なによりも、観た人の評価が希和子の愛を絶賛するような内容ばかりで辟易する。 不倫する父親はクズだが、 不倫している自覚があるのに略奪できると考えている考えが浅はかだし、 何も知らない子供を、自分の欲望のためだけに浚う行為も浅はか。 「私はあなたを愛している」 冗談じゃない。浚った相手が全てだった子供にはいい迷惑でしかない。 大きく成長した主人公の、憎しみとも愛情ともつかない複雑な心境は察して余りあるものがあるし、 家族をばらばらにされた本当の母親がかわいそうで仕方ない。 あくまでフィクションとしては楽しめる作品であるが、 この作品に家族愛を感じる要素は、 主人公が子供を産む決意をするくらいのものじゃないかな。 犯罪を美談にするのはどうにも納得できません。 あ、全体的に俳優さんの演技は素晴らしかったです。
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