騙されない自信、ありますか?
クヒオ大佐、「なんでこの稼業を選んだ。」と首をかしげるほど、かなしいかな、人をだますのに向いてない(笑) 実話を元にしているということで、本当にこんな詐欺師が詐欺師として成立していたことにびっくりです。こんなのにだまされる女性もいるんだあ、なんて、他人事のように観てました。途中までは。 しかし、最終的にバレてしまい、カモにしていた女性の一人から、無理心中させられそうになります。彼女はこう言うのです。「ジョナサン・エリザベス・クヒオなんてどうでもいい。目の前のあなたが好きだった」と。 騙しおおせていると思われた女性は、実はとうの昔にウソだということなど気づいていたのですね。 それでも彼女は騙されていたかったのです。現実から目をそむけて、いっときでも夢みたいな話に心満たされるなら、それでよかったのかもしれません。 心に空いた隙間をふわっと埋めてもらえたら、私もクヒオ大佐にだまされちゃうかもしれない、と思ったのでした。 クヒオ大佐もまた、ウソをつかなければ生きられなかった悲しい過去を背負っていることが、物語の最終局面で明らかになります。 彼は、自分自身をも騙していたのでした。 人間って滑稽で悲しい存在だなあって、思わされました。
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