パーマネント野ばらの評価
パーマネント野ばらの感想
美しい映像で滑稽で悲しい人間模様を描き出す
前提条件から、足元からガラガラと崩れてしまう2010年作品。吉田大八監督の作品ではじめて見たのは「桐島、部活やめたってよ」でした。タイトルにもある、皆の中心人物である肝心の「桐島」自身がとうとう最後まで映画に登場しないという非常にトリッキーな作品で、その変わった趣向を含めとても面白く見ました。その後「紙の月」も見て、遡って長編三作目となるこの作品。この作品も、やはり観る者がちょっと愕然とするような展開を含んだ作品になっています。この監督はいつもオリジナル脚本でなく原作のあるものを映画化する監督ですので、そういった「前提条件から、足元からがらがらと崩れてしまう」ような転換を含んだ物語に監督自身が心惹かれるのかもしれません。初期の2作は未見ですが、近作の3作においてはどれも作品のピークであり種明かしがなされた瞬間に、観る者は映画のはじめまでがーーっと遡って回想され、そこここにちりばめられたヒン...この感想を読む
自然体の菅野さんが美しい。
西原理恵子の原作漫画を映像化した作品。母親が経営する美容院、「パーマネント野ばら」で働く、シングルマザーのなおこ。高校教師のカシマと付き合う彼女の日常を中心に、海辺の寂れた漁師町で逞しく生きる女達を描いています。なおこ役の菅野美穂さんは、自然体で年齢を感じさせない美しさ。どこか浮世離れしている彼女を上手に演じていました。ただ、なおこに対して周りの女性陣(おばちゃん含む)が、現実感ありすぎ。ギャップが大きすぎて、なおこの存在感が浮いてしまっていたように感じました。そのギャップが滑稽で面白いのかもしれないのですが。強い女性陣に対して、男性の影が薄かったが印象的でした(笑)
せつないヒューマンドラマ
菅野美穂さん主演ということで気になって映画館に足を運び、パンフレットを購入し、原作を読み、その後DVDでも観た傑作。原作は西原理恵子さんの漫画。西原さんは、人間のおかしさ、おろかさ、いとおしさをよくご存じで、それを形に出来る方だと思っている。この映画でも、全体的にそういう人間くささのようなものが随所に見られる。それにくすりとなるし、せつなくもなるという。バツイチの子持ちで、高校の先生(江口洋介)と付き合っていて、そのことは周りには内緒にしていて。何気ない日常が続いて、最後の最後で、ハッと驚くような展開が待っている。それがあまりにもせつなくて、ついぽろぽろと泣いてしまった。