主人公 永井 圭の人物像を掘り下げてみる - 亜人の感想

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亜人

4.634.63
画力
4.50
ストーリー
4.50
キャラクター
4.63
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4.50
演出
4.25
感想数
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主人公 永井 圭の人物像を掘り下げてみる

4.54.5
画力
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
設定
5.0
演出
4.0

目次

つかみどころがない 主人公 

亜人である事が発覚し国から追われ、亜人である事を理由に好き勝手している佐藤を倒すべく奮闘中の圭。正義感があるのか無いのか、立派なのかクズなのか、中々心情が読めない主人公 永井圭がどういう人物なのかを考察してみようと思う。(内容は第12巻まで)

圭の家族

〈父〉優秀な外科医だったが、患者を助けたいが為に臓器売買に手を出してしまう。その結果、仕事も家庭も失った。生死は不明。

〈母〉元ERの医師。シングルマザー。合理的な思考をしていて、圭にもその様に教育してきた。

〈妹〉珍しくて治療法がない病気にかかっている。圭はそれを治す為に医師になると言っている。

圭が亜人だと発覚した際の母と妹の態度は冷たいもので、妹は圭の事をクズ呼ばわり、母は「息子いや永井圭が人間じゃなかったなんて」と他人事の様な言い方をしており、家族の仲は希薄かと思われた。しかし第10巻にて圭が母親に電話した際に、母親は圭の行動をあらかた予想しており、圭に「すべき事をしなさい」と喝を入れている。そして妹の慧理子も圭を心配する様子が描かれている。圭も母親の変わらぬ様子に安心した様子だった。教育は厳しいようだが、家族の絆は弱い訳ではなさそうだ。

数々の“クズ”発言

海斗は犯罪者の子だから もう遊ばないようにと母親から言われたとき

「一人でかわいそうだから、構ってやってただけだしね」

生体実験をしていた研究員に対して

「僕は 上辺以外で 人の心配なんて したことない」

佐藤を止めようと協力を求めてきた中野に対して

「日本のどこかで他人がどうなろうと 知ったこっちゃない」

仲間探しで戸崎に目を付け、婚約者が意識不明の重体、その医療費を負担していると知ったとき

「ハハハッ ちょっとやそっとじゃ払い続けられる額じゃないぞ!!」

「恋人という 付け入る弱みがある。コイツと組むぞ」

仲間である黒服の事を

「あいつらのスキルのひとつは “ちゃんと死ねる” ってとこだ。コレは僕らにあって佐藤にない。捨て駒として 作戦に組み込めるかもしれないんだ」

海斗の事はどうなんだと 中野に聞かれたとき

「いらないよ もう。平時なら別だが こんな状況になっちゃあ なんの役にも立たない。何かするメリットもない」

作戦会議中 泉をかばった中野に対して

「子供だろうが 老人だろうが 使えるものは使う!」

日を追うごとに、クズっぷりが洗練されてきているようだ。目的達成の為に、余計なものは一切切り捨てる!という意志が感じられる。ちなみに妹の慧理子、中野からははっきりと“クズ”と言われている。

数々の“クズ”じゃない行動

圭を研究所から出すために来た佐藤が 研究員を撃とうとした時、「無抵抗ですし 殺さなくてもいいんじゃあ」と佐藤の銃を抑える。

その研究員が佐藤から撃たれて重傷、だが「アンタは助けたい」と 佐藤と戦ってでも逃がそうとする。

かくまってくれたおばあちゃんが 村の男に捕まったとき、「忘れ物」と言って村に助けに戻る。

佐藤の襲撃を止められず、引き止めようとする中野を振り切り去る圭。が、割とすぐ戻ってくる。

基本的にクズ発言をする圭だが、ときに不本意ながらしてしまった、という様なクズじゃない行動を見せる。もともと成績優秀で真面目だったからか律儀なところがあり、助けてくれた人がピンチな時は助けている。

周りからの信頼度は かなり高い

人情に欠けた圭だが、周りの信頼はかなり厚い様に感じる。妹の慧理子は圭が自分の病気を治す為に医者になるというのは、人から良く思われたいからだと圭をクズ呼ばわりしている。しかし医者になる、という事に関しては嘘だとは思ってないようで、圭は周りに比べても勉学に励んでいたし、その点は信頼していると思われる。

中野も圭に対して、情が薄いところをクズだと言っていたが、フォージ安全ビルにて作戦遂行中、「コレが佐藤を倒すベストなんだろ?お前が言うんだから」と、かなり圭を信頼している様な発言をしている。戸崎や平沢も同様、圭の頭の良さや作戦成功の為に感情に流されず行動出来るところを高く評価している。真面目に生きてきた圭にとって、佐藤の思考を理解する事はなかなか難しいようだが、段々と佐藤の行動を予測できる様になっている。誰も口にしていないが、圭こそが、佐藤を倒す 唯一の希望だと少なからず思っているのではないだろうか。

圭の性格をまとめると

 さすがと言うべきだが、第10巻にて母親が慧理子に話していた通りだ。

「圭は、自分の置かれた状況で 自分にとって大切なものを取捨選択し、その中で自分のできることに 全力を尽くせる、そういう子よ」

自分の大切なものの為に、余計なものを切り捨てるさまは冷たい人間に見られてしまいがちだが、圭は自身を酷使して人並み以上に頑張っている。それは周りの人々もしっかり分かっている。だから信頼されている。そして母親の言う通り、情動的である父親似の部分が少しある。それがたまに出る「クズじゃない行動」だろう。本人はその部分は邪魔そうな感じだが圭の人間らしい部分でもある。

この絶妙なバランスが、圭という主人公が読者を惹きつける要因なのだろう。

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