作家の責任とは・・・ - ダンサー・イン・ザ・ダークの感想

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作家の責任とは・・・

1.01.0
映像
3.0
脚本
1.5
キャスト
5.0
音楽
3.0
演出
1.0

ビヨークが好きで、試写会で学生の頃、観ました。 カトリーヌ・ドヌーブまで出演する贅沢な作品かと思いきや、衝撃の走る作品です。衝撃を与えたいためだけに作ったのでは?と思わせる、謎の作品だと思います。ある意味、今でもわたしのトラウマ映画の一つです。 あれから十年以上も経ちますが、当時、なぜこの作品を作者が作ったのか、理解できませんでした。しかし、今となってはもはや理解したくないとすら感じるところがあります。というのも、そのためには、ひどい作品を思い出さないとならないためです。 まず、救いようのない弱者なだけでなく、愚かさを与えられた主人公の設定にイライラさせられます。それから発砲してしまう場面で、変にリアルなカメラワークを用いる手法も、大画面で見ていると酔いました。あれ、いったい、誰の目線なのでしょうか!? 救いようのない悲劇の連続にももちろん腹が立ちます。社会の暗さや人生の生き難さを描くとしても、なぜこの方法を選んだのか、理解に苦しみました。 こちらが積極的にいい解釈を映画に与えようとしても、それは観終わった人が独自に解釈するしかなく、そのガイドラインになるようなストーリーも感じられない。これって、作家として不親切きわまりないと思うのです。映画祭に出品するとしても、部門を考えるべきでしょうし、日本も賞をもらった作品だからと言ってどこでも上映していい作品でないことをよく考えるべきだったと思います。「ある視点」という限定があれば、この作品もアリかな、と思えたかもしれません。 デンマークは、安楽死や死刑について、踏み込んだ姿勢を持っている国ですし、かなり過激なテレビ番組も制作されていると聞きます。そのような背景からこの作品が生まれたのかなぁ、ということで自分を納得させたりしていますが、この作品を世に送り出した監督に会うことがあったら、ちょっと待ちなさい、と言いたいものです。 芸術作品とは、作り手の悪意など入り込む余地などない(まして大衆が目にする映画など!)と信じていた当時の私にとって、彼の良心とは、非常にわかりづらいものだったな~、と優しく理解するしかないように思うのです。ある意味、彼は、世界に対してとても暗くて重たい責任を負ったと感じています。 結局、わたしはあまりに辛くてラストシーンは目を閉じ、耳も塞いでしまいました。生涯観ることはないでしょう。怒りを湧かせる作品を作ってくれたなぁ、という感じです。

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