夫への究極の愛、自分への足りない愛
ラース・フォン・トリアーの作品で初めて観たのが、この「奇跡の海」だ。苦しくて苦しくて、こんな展開耐えられない、と思った。と同時に、すごく辛過ぎるモノっていうのは誰の心にもある暗闇の中にズカズカ入ってきて中毒性のある香りを残すのだ、と知った。こんなにも苦しいのに何度も観てしまった。観終わっても、暗い淵にしかいけないって分かってるのにすっきりしないし、晴れやかな気持ちにもなれないのに悔しくて、哀しくて、居てもたってもいられなくなる。ベスのしたことは、究極の愛なのだろうか。この映画を観た当時の私は、若くて、これが極めつけの愛なんだってベス、カッコいいと思う部分もあった。ちょっと足りないベスだからこそすべての言葉を信じてある意味自分が正しいと思うことを徹底的に貫いた。でも、決してココロが喜ぶことでは無い。やっぱり、それでは、ダメなんだって今は思う。泣きながら、夫が喜ぶからって、知らない男に身を...この感想を読む
4.04.0