緊迫感と激動の中身で楽しめるエンターテーメント作品 - ギャング・オブ・ニューヨークの感想

理解が深まる映画レビューサイト

映画レビュー数 5,784件

緊迫感と激動の中身で楽しめるエンターテーメント作品

4.54.5
映像
4.5
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
4.5
演出
4.0

目次

荒々しい激動の描写が続く映画

舞台は1863年のニューヨークです。アメリカは移民たちが集まるところ。そこに過去にグループ抗争(ギャングのようなもの)で父を殺された息子が離島の少年院を出て、復習を誓い、その街の裏のボスに近づき、気に入られ、父の命日(ボスはこの日を記念日として毎年盛大なお祭りを催します)に暗殺しようとするも失敗。その後、移民たちを集め、再度、挑戦を図るが、時は南北戦争による徴兵制度の導入や移民流入、黒人問題など混沌とした社会背景で、街は暴動となる。そんな混乱の中、ボスを突き刺す、というのが基本となるストーリーで、荒々しい激動の描写が続く映画です。

すばらしいカット割りや緊迫感と密度の高い映像、それぞれの役者の動き、中心人物となる出演者たちの芯の通った演技などは傑作といっていいかもしれません。ずっと最後まで気を抜けずに見入ってしまうリーダビリティーのあるストーリー展開と演出力がこの作品にはあります。

腑に落ちない箇所が大きく二つ

あえて腑に落ちないのは、なぜ、ディカプリオは一回目暗殺しようとしたときに殺されなかったのかですね。これは最大の謎で、説明されていません。人生にはそういうラッキーがあるからという理由ならそれはそうとそういうセリフを誰かに言わせるなどすれば、まだしもという気がします。

出だしのストーリーがわかりにくいという点も難です。ただし独創的であるということもできるんですが。なぜブッチャーは公然と人殺しをして目撃者もいて、さらに反発する住民がたくさんいるという時点(選挙支持者が敗戦)においても警察に捕まらないのかという疑問も大いに残ります。アメリカ人は「この時代、こんな下町だったらそうなんだよ」とでもいうのでしょうか。納得がいきません。まあ、逆に、そんなやつが野放しになっていて我が物顔だというところのにちょっとした恐怖感というか怖さがありますが。

ディカプリオのシリアスな演技が様になってきた作品

一方、最後に対決する場面にいたる映像展開や、クライマックスの処理の仕方などはさすがというべき工夫が見られました。総合的に言うととにかく楽しめました。すばらしい映画だと思います。

ディカプリオはこの作品あたりからシリアスな演技が様になってきて言いますね。いつの頃からか、眼力が半端なく強くなってきていますが、この映画ではまだ、可愛らしさもほんのり残っています。スピード感のある演技ができて、緊迫感をかもし出せます。ハリソン・フォードの一連のサスペンス・アクションに見られる表情と似ていて双璧です。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

他のレビュアーの感想・評価

壮大すぎる物語が説明不足。でもD・デイ=ルイスは凄いっ。

父親を殺された復讐をしようと企む青年がディカプリオで、ディカプリオが惚れちゃう女(でも実は敵の女)がキャメロン・ディアスで、敵の大ボスがダニエル・デイ=ルイスなんですが。アメリカの先史ともいえる、ネイティブとアイルランド系移民との抗争が軸になっているお話です。壮大なスケール!と謳われた作品ですが、たしかにスケールはでかいのですが…それゆえ話が分かりづらく、長い年月を表現しなければならなかったにも関わらず、そこんとこは説明不足が目立ちます。ダニエル・デイ=ルイスの怪演はあっけにとられるほどですが、対抗するディカプリオはちょっと呑まれてしまった感じ。キャメロン・ディアスの役って、もっと別な人がよかったんじゃないのかなー…などなど、映画自体の構想も長かったようですが、不完全燃焼で終わってしまった気がします。それにしてもダニエル・デイ=ルイスは、ほんとにすごいっす。映画出るたびに人相違ってない...この感想を読む

4.04.0
  • nyan_chunyan_chu
  • 119view
  • 437文字

プロテスタントとカトリックの派閥争い これぞアメリカの歴史

マーティン・スコセッシ監督が拘っていたと言う作品でレオナルド・ディカプリオも出演しまいます。これを見るとなぜアメリカ人たちは今の今でも、自分はスコッツだのアイリッシュだのと面々と聞いても居ない事を説明する意味が理解できるようになります。基本的にアメリカの歴史は、何時の年代に何処の国がやばかったか歴史的な次元の話だとわかります。今、中国からの移民が爆発的に増えてるということです。全欧州にもその傾向がありますが、イタリアからは不法移民は逃げていると聞いています。舞台は南北戦争のころのニューヨーク。この時代考証が良くできていますが、流石にやっとこないだまでの風景ですから、アメリカ人の記憶の中に有る物なのでしょう。メイフラワー号に乗って入植していたWASP(イギリス系アングロサクソン系プロテスタントの白人)と、その後アイルランドの食糧危機で逃げてきたアイルランド系の白人との摩擦が起こるわけです。アイ...この感想を読む

4.54.5
  • 254view
  • 498文字

関連するタグ

ギャング・オブ・ニューヨークが好きな人におすすめの映画

ページの先頭へ