緊迫感と激動の中身で楽しめるエンターテーメント作品
荒々しい激動の描写が続く映画
舞台は1863年のニューヨークです。アメリカは移民たちが集まるところ。そこに過去にグループ抗争(ギャングのようなもの)で父を殺された息子が離島の少年院を出て、復習を誓い、その街の裏のボスに近づき、気に入られ、父の命日(ボスはこの日を記念日として毎年盛大なお祭りを催します)に暗殺しようとするも失敗。その後、移民たちを集め、再度、挑戦を図るが、時は南北戦争による徴兵制度の導入や移民流入、黒人問題など混沌とした社会背景で、街は暴動となる。そんな混乱の中、ボスを突き刺す、というのが基本となるストーリーで、荒々しい激動の描写が続く映画です。
すばらしいカット割りや緊迫感と密度の高い映像、それぞれの役者の動き、中心人物となる出演者たちの芯の通った演技などは傑作といっていいかもしれません。ずっと最後まで気を抜けずに見入ってしまうリーダビリティーのあるストーリー展開と演出力がこの作品にはあります。
腑に落ちない箇所が大きく二つ
あえて腑に落ちないのは、なぜ、ディカプリオは一回目暗殺しようとしたときに殺されなかったのかですね。これは最大の謎で、説明されていません。人生にはそういうラッキーがあるからという理由ならそれはそうとそういうセリフを誰かに言わせるなどすれば、まだしもという気がします。
出だしのストーリーがわかりにくいという点も難です。ただし独創的であるということもできるんですが。なぜブッチャーは公然と人殺しをして目撃者もいて、さらに反発する住民がたくさんいるという時点(選挙支持者が敗戦)においても警察に捕まらないのかという疑問も大いに残ります。アメリカ人は「この時代、こんな下町だったらそうなんだよ」とでもいうのでしょうか。納得がいきません。まあ、逆に、そんなやつが野放しになっていて我が物顔だというところのにちょっとした恐怖感というか怖さがありますが。
ディカプリオのシリアスな演技が様になってきた作品
一方、最後に対決する場面にいたる映像展開や、クライマックスの処理の仕方などはさすがというべき工夫が見られました。総合的に言うととにかく楽しめました。すばらしい映画だと思います。
ディカプリオはこの作品あたりからシリアスな演技が様になってきて言いますね。いつの頃からか、眼力が半端なく強くなってきていますが、この映画ではまだ、可愛らしさもほんのり残っています。スピード感のある演技ができて、緊迫感をかもし出せます。ハリソン・フォードの一連のサスペンス・アクションに見られる表情と似ていて双璧です。
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