エージェントとしての仕事と女性との結婚の葛藤を描いて惹きつけられる - ザ・エージェントの感想

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エージェントとしての仕事と女性との結婚の葛藤を描いて惹きつけられる

4.04.0
映像
3.5
脚本
4.5
キャスト
4.0
音楽
3.5
演出
4.0

目次

明るくドライに描かれたエージェントに好感

優秀なスポーツエージェント。ふと、大金を動かし、利益ばかり追求する生き方に嫌気がさし、自分の意見を述べた「提案書」を会社に提出します。そして首になります。ライバルにほとんどのクライアントを取られていくトム・クルーズですが、たった一人、芽のでないクライアントと仕事をすることになります。また、会社から自分にあこがれてついてきたかわいい子持ちに女と結婚。最後に、このクライアントがヒーローになり、ハッピーエンドという展開。また、ストーリーの中では、自分についてきた女との結婚の是非や葛藤なども平行して描かれています。

至極ドライに描かれていて好感がもてますね。テンポがとてもよく、また、勝った、負けた、鼻を明かしたというような紋切り型なストーリー展開になっていないことがさらに好感度をあげています。

女性との葛藤は別の何か意味があるのではいかと連想させる

また、女性との結婚の是非への葛藤が一見、どうでもいいテーマに見えるのですが、逆にこの作品に渋みを与えているような気がします。つまり「本当にこの女が好きなのだろうか?結婚とは?愛とは?」と大げさに言えばそういうことに葛藤し悩んでいるわけなんですが、私たち見ている者はそれだけじゃなくって、何か他に特別な葛藤が、つまり私たちが知らない、理解できないトムの個人的な葛藤があるような気がするものですから、ついつい作品に成り行きに見入ってしまいます。

一人になって、逆転劇のように次々と成功していくという嘘みたいな展開でないのも現実味があってとてもよかったです。最後に、クライアントがテレビ出演して、新しい契約の朗報に涙し、トムを含めて多くの者にお礼を言うところがこの作品のキメのシーンになりますが、何度も繰り返しみたい素晴らしいシーンです。

また、このクライアントが言う愛も金も成功も超越した言葉「クワン」が、もっと効果的に使われるのかと思いましたが(例えば、この言葉が流行になってクライアントがスターになるなど)、最後のキメになるまで出てこなかったところも意表をつきました。佳作でしめ。トムのメンター的な立場で教訓を述べるあこがれのスポーツエージェントが、区切り区切りで入ってくるのもおもしろかったです。

トム・クルーズは悩める好青年ををやっても超一流

トム・クルーズは生き生きと明るく演技していますね。まあ、一言で言えば華があるということなんですが、その爽やかさ、前向きさにうっとりします。サスペンスやアクションでは見られない、悩める好青年的な演技をしても超一流だと言えます。

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レニー・ゼルウィガーだけじゃなかった

夜中のラブレターよろしく、感情に任せて書いた提案書がもとで解雇されてしまったスポーツエージェントのジェリーと、彼の信条に共感して一緒に会社を去ることにした、シングルマザーのドロシー。彼らのラブストーリーと、挫折を味わった男―ジェリーと、彼のクライアントであるロッド、2人について―の復帰と成功の物語。この2軸で話は展開されていきます。この作品は演出と人物の描き方がとても魅力的です。公開当時は新人女優扱いのレニー・ゼルウィガーのかわいらしさが強烈に心に残りましたが、改めて見るとそのほかの人物もとても魅力的でした。主人公のジェリーのへたれ具合は、ぎりぎりのラインで憎めないやつというかんじ。ロッドのハイテンションぶりと、時折見せる友情に厚いところ。ロッドの奥さんの豪傑ぶり。ドロシーの息子のレイはとにかく言動全てがかわいらしい。魅力的な登場人物たちのおかげで、ありふれた、予想の範囲を超えない展開...この感想を読む

4.04.0
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