純粋さをいいなと思える作品
ジェームススチュワートはまさに適役
古き良きアメリカ。州選出上院議員に欠員ができ、急遽議員に祭り上げられるボーイスカウトの団長である青年スミス。純粋無垢で、元気いっぱいで、大志を抱き、一生懸命に職務をこなそうとしますが、自ら掲げるキャンプ場計画において、先輩議員とその黒幕が既に法案を提出しているダム建設と衝突することがわかり、その一派につぶしにかかられます。当初は、その先輩議員がそんな利権政治をやるはずがないと思っていました。さらには濡れ衣を着せられ、失意に陥ります。
主人公のジェームス・スチュワートがまさに適役で快演。バカがつくぐらいの真面目ぶりを演じます。アメリカの良心そのものです。瞳やその表情に真摯さ、誠実さが溢れ、誰でも彼のことを信頼し好感を持つであろう人物を表現しています。
忘れられないシーンの数々
そして忘れられないシーンがたくさんあります。子ども達が食卓でスミスを口々に推すシーン(これはすばらしい、スピードといい、表情といい)、コイントスでスミスを決めるシーン。リンカーンの銅像の前でスミスが泣くシーン、秘書がスミスをなぐさめはげますシーン(特に、影だけで構成されるシーンの美しさ)など。
その秘書の支えもあり、スミスは最後まで戦い抜こうと決めると、最後は議場で立って発言する限り誰にも止められないという規則を逆手にとって16時間も演説を続け、最後には倒れてしまうという。なんともドラマティックな展開です。その姿についに先輩議員も改心し、自分のしてきたことを白状し始めるのでした。正義は勝つというオチですね。
青臭いけど純粋さに溢れた映画
物語としては、青臭い、わざとらしいと感じる人もたくさんいるかもしれませんが、この映画、断片となるシーンが本当にいいのです。スミスから真摯に発せられる政治理想や秘書の励ましの言葉、あこがれの女性の前でのスミスの振る舞い。法案を作る際の秘書とのやりとり(草案の内容にまじって、秘書に別のことをあれこれと聞くシーン)、議長の表情(この男が物語のクッションの役割を果たしている)、すべての子ども達が出てくるシーン。 本当にすばらしい映画です。純粋さが取り戻せるようです。
最後が少しあっけない(唐突に終わる)のですが、まあこんなものでしょう。
蛇足ながら、いつだって、ダム建設を推進する政治家は悪徳政治家の典型のように扱われますね。本当は治水利水には欠かせない施設で、私たちの生活や産業活動に必要な理にかなった施設なんですが。
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