第二期から物語内容が大きく変化 - げんしけん2の感想

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げんしけん2

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音楽
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第二期から物語内容が大きく変化

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

主人公の成長

第一期から、引き続き同じ要素として描かれているのが、主人公、笹原の成長という部分に感じました。サークル会長に就任して、目標を具体的なところに設定したのは、大きな成長要素になったのではないでしょうか。

まずは、同人誌の作成では、サークル仲間たちとの衝突が描かれており、感情のぶつけあうことで、絆が強くなりました。また、これまで穏便に喧嘩することを避けていた主人公の大きな変化だったように思います。ミッションを達成する為、人との摩擦を恐れず進んでいく笹原の姿は、成長以外のなにものでもありません。

そして、コミフェスでは同人誌を完売させる、という目的意識が高かったように思います。ここでは、チームワークがとても強調されていたのではないでしょうか。笹原も会長として、リーダーシップを発揮するかたちにならなかったことが彼らしいです。サークル仲間のアイデアを積極的に取り入れながら、助けられるかたちで目標達成を図っていました。

同人誌の制作、販売という活動を通して、笹原の変化ぶりは目覚ましいものだったように思います。特にコミフェス参加をやり遂げたこと、そして、目標達成できたこと、という部分は大きな自信につながったのではないでしょうか。

ここまでの部分で、主人公の成長に欠かせないキーマンが存在します。サークル仲間たちにも嫌われていた嫌味な登場人物、原口(はらぐち)の存在です。実は、彼の発言が、笹原にコミフェスに参加するという目的意識を与えています。そして、彼の発言で、目標達成に向けた気持ちを強くしています。さりげなく登場して、存在感も大きくない登場人物ですが、彼の物語の中での役割は大きかったのではないでしょうか。

 

オタクの恋愛を描いた場面

第一期では、高坂と咲の恋愛要素はありました。しかし、作品の中で、あまり強調されていた部分ではありませんでした。しかし、第二期では、田中と大野の二人がお付き合いするまでの過程を強調して描いていました。

これまで、笹原に焦点があたっていることが多かったので、この展開は意外なものに感じました。焦点が当たっていた笹原が、この場面では、脇役の立場だったことが意外だったように思います。しかし、この展開が強調されたことは、笹原と荻上(おぎうえ)とのやりとりの前段階として捉えることが可能です。田中と大野の関係性の変化に気付き、荻上の内面においても、変化があったように見受けられます。

振り返ってみると、田中と大野の恋愛を描いた場面は、主人公の恋愛展開に結びつける為の布石だったと考えられないでしょうか。

「げんしけん」における恋愛要素では、趣味に対して極端に積極的なオタクたちですが、恋愛に対しては消極的なので、一般人より面倒である点が強調されていたように思います。

 

視聴者サービスだったのか、キスの描写がディープだったのが驚きでした。「げんしけん」というアニメ作品は下品な描写、エロさは極力排除されている印象です。しかし、キスの描写だけは18禁アニメ並みだったので、観ていて刺激が強かったです。

しかも、フレンチから入るのではなく、いきなりディープだったことに笑ってしまいました。一般的な手順や順序を飛び越しているのが印象的で、そういったセオリーを無視しているのもオタクらしさを強調させるための意図的なものだったのでしょうか。

 

就職活動を通して

物語の中で、終始徹底されていたのは、冒頭でも記述している主人公、笹原の成長です。内定を貰えないことでの焦りが、とても強調されていたように感じました。しかし、この場面で思ったのが、オタク要素として打ち出しているものが薄いことです。この場面での笹原の悩みは、オタクだからこそ、という部分ではなく、一般的な就職活動の悩みだったように感じました。

内定を貰えないことでの自己嫌悪、現実逃避というのは、オタクという人種ではなくても、誰にでも当てはまる要素だったように思うのです。就職活動をしている学生であれば、誰にでも当てはまるのではないでしょうか。

自分自身と向き合い、何がしたいのか、何をしていくのか、真剣に考える時期のように思います。あくまで「げんしけん」はアニメ作品であって、主人公の笹原のように結果的にうまくいくとは限りません。むしろ、現実社会は上手くいかない、上手く進まないことの方が多いのではないでしょうか。しかし、自分と向き合うことで、笹原は自分自身が、何がしたいのか、普段は意識しない心の奥底にある深層心理に気付くことができました。そして、それに気付いた時に、良い縁に恵まれたように思います。

アニメの物語なので、少し出来過ぎである感じが強く、タイミングが良すぎる気がします。現実社会や、現実の就職活動は、こんなに上手くいないのではないでしょうか。ただ、逃げずに自分自身と真摯に向き合って結論を出していくことが、この場面でのメッセージ性のように思います。

第一期の物語冒頭から比較すると、笹原は別人と思えるほどの成長をしていると思います。周囲の登場人物も変化はしていますが、比較的、小さな変化ではないでしょうか。笹原という人物像の変化に、原作者のメッセージが込められているのではないでしょうか。

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