塔矢アキラの心の変化について。
塔矢アキラの心の変化。初期。
塔矢アキラは非常にしっかりした子供ですよね。父親のしつけがいいのか、自分の将来が決まっている 子らしい性格と度胸です。思わず歌舞伎の子供を想像してしまいました。あれは世襲制ですが、囲碁の世界はどうなのでしょうか。アキラは最初藤原佐為の存在 は全く気づけません。というのもそのままヒカルが囲碁の実力者だと思っているからですが、それはそうですよね。自分と同じ年頃のヒカルが自分と囲碁の勝負 を互角にできる。しかもほとんど囲碁の経験がないと知ったらショックを受けるに違いありません。それだけ自分に自信があるほど毎日鍛錬を繰り返してきたわ けですから。
塔矢アキラの心の変化。中期。
話はひたすらアキラがヒカルを追いかけて行きます。その健気さと言ったらまる で隠しもせず一直線です。そんな糞真面目に進まなくてもいいのにと思うほどアキラは真っ直ぐな子だと思います。そこに障害物があったら意地でもどかして突 き進む頑固さはありますが、こんなわかりやすい人も珍しいなと思います。ただ、私はそんなアキラの一途さと真っ直ぐな精神は凄く読んでいて好きでした。な かなか人って興味のあることだとしてもあんまり表に出さないですよね。
塔矢アキラの心の変化。後期。
後期のアキラの性格 は何かを悟ったような気がします。何度も何度もヒカルと囲碁をやっているうちにヒカルの中にいる佐為の存在を見抜いたような感じです。言葉に上手くできな くても鋭い感覚がそれを掴んだんですよね。ひたすら追い求めて追い求めたものだけがわかる世界っていうのも格好良くて好きです。そして佐為がいなくなった 後に私はなんだか今まで夢を見ていたような気がしました。ヒカルがとうとう現実の厳しさに一人で立ち向かわなくてはならなくなる後期は読んでいて辛かった 気がします。アキラの心の変化を追ううちに自分もアキラの目線でヒカルを見ているような感じになってきていました。ようするに今までチートだったヒカルが ヒカルとして囲碁をするわけですから、これはもう子供の頃からやっていたアキラの方がとても大人に見えてしまったのです。物語は現実の厳しさを教えて終 わってしまったのが残念です。というのも個人的には夢のようなままで終わって欲しかったので佐為がいなくなって、彼のいてくれた意味を知ったところで終 わってもよかった気がします。韓国の新しい選手との戦いは読者の想像に任せてそこで終わっても良かったような気がします。
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