NHKさんありがとう!
ただの子ども向けアニメではない
なんといっても天下のCLAMPの名作であり、その中でも特に少女マンガ色が濃い作品のように思われ繊細な絵が目を引きます。一見子ども向けに見えますが実のところそうではないことと思われます。あまりにまとめてしまうと、マスコットしてしまったケロちゃんと一緒にカードを集めていくお話ですが、複雑な人間関係やきめ細やかな心理の変化などが描写されているので大人になってから見た方が楽しいかもしれません。
うら若い女の子が少女趣味の服を着てキラキラした杖を振り回していれば、"年端もいかない女の子が見るための魔法少女アニメである"なんてつまらない偏見が世間を覆いつくしていたものですから「妹が見たがっているから本当は見たいのあるのに番組の権利を譲ってやっているんだ。」「ほら、うちは姉がいるからしょうがなくこれを見ているわけ。」などとしょうもなく心苦しい言い訳を繰り返す男の子たちが大量発生することになってしまいました。
一方、男の子しかいない家庭で育った友人は「俺は開き直って見ていた。面白いし。」と勇気ある行動をとっていたようです。そう、自分に正直でいられるあなたが正しい。
「汝のあるべき姿に戻れ!!」とさくらちゃんが必死に駆け回る姿は全国の小学生の尊敬の的であるだけでなく、疲れた大人たちにも大きな癒しとほんの少しの勇気を与えてくれていたのです。
いちばんビックリしたのは放送していたのがNHKなんですよね。NHK。どうしても固いイメージが離れることはないNHKです。
心から感謝の気持ちでいっぱいであり、最大の敬意を払ってありがとうと言いたいです。ありがとうございました。
親友が変態
常にカメラを持ち歩き親友を自分好みに仕立てては撮影する、ともよちゃんが女の子でよかった。
男の子だったらなかなか許されなそうですね。いくら小学生でも厳しいものがあります。しかし女性が撮影していると許されるのはなぜでしょう。
やはり盗撮という野蛮な行為を働くのは圧倒的に男性ばかりであり、逮捕劇で報道されるのは主に中年男性です。
女子高生だって電車の中で面白い人を見かければ写真を撮ってSNSに投稿する現実がありますが、パンツの中などを撮ったわけではないのでたいした問題にはなりません。肖像権云々を言い出したらキリがないのでいちいち取り上げられることはないですね。
そもそもそんな気軽に写真が撮れる携帯電話や誰でも簡単に画像投稿ができるSNSが目立っていなかった時代なので、今でこそ男性限定ではない撮影マナーやネットマナーが浸透しつつありますがまるで時代背景が違います。
女性の撮影行為には圧倒的に優しかったといえるのは少し乱暴でしょうか。
だがしかし、そもそもともよちゃんは堂々たる姿勢で撮影に臨んでいるのでそういった問題などナンセンス。
撮りたいものを撮る、美しいものを一瞬一瞬切り取っておきたいという当然の欲求に正直な芸術家なのです。
変態の鑑です。さくらちゃんもまんざらではなさそうです。
女性心もつかむ
さてこのカードキャプターさくらの主人公には兄がいて、さくらちゃんの片思いの相手は兄の親友なのですがこの二人がとてつもなく美男ですね。高身長で性格がとてつもなく、いい。さくらちゃんが熱を出してくれるおかげで普段はつんとした印象のお兄さんの優しい面が見られます。さくらちゃんありがとう!
二人が顔を赤くして絡み合うシーンは何人もの女性視聴者の人生を変えてしまいました。
今作はさくらちゃんやケロちゃん、ともよちゃんがとてもかわいいので男性と子どもに好かれるのは当然のことです。しかし、女性からの圧倒的支持を得たのにはこの二人の計り知れない功績があります。有名なのは二人がとてつもない近距離で見つめあう場面ですが、こんなゴールデンタイムに、なんてものをぶち込んできてくれるのか。
こんなお兄さんがいてくれたらいいなぁなんて純粋な気持ちだった少女でも心を奪われてしまいます。美少年同士ってどうしてこんなに魅力的なのでしょうか。見方によってはなんともないことであり、実際そのシーンを見ていてたいしてピンとこなかった男の子は多いと思います。
ただ視点を変えるとそうとも見える。「これは、なんだろう。」
一歩通行で受け取るだけでなくその視点を視聴者次第の解釈で入れ替えられる余地があることにこそ、引き付けられる魅力があったのだと思います。
もしかしたらそういうことかもしれないしそういうことではないかもしれない。こんなことを考えているのはわたしだけなのかと思えば案外そうではなかったり。え、みんなも同じこと考えていたの!?
男の子同士、いつ関係が変わっても不思議ではないのではないか。その危うさが視聴者の気持ちを揺さぶるのではないでしょうか。
あからさまなボーイズラブでないことが何よりも視聴者が引き付けられる要素だったのではないかなと思います。
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