じわじわ大人になっていく - 続・最後から二番目の恋の感想

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続・最後から二番目の恋

4.674.67
映像
4.83
脚本
4.67
キャスト
4.67
音楽
4.00
演出
4.67
感想数
3
観た人
3

じわじわ大人になっていく

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
3.0
演出
5.0

目次

何事もなく何事かある

海の近くに住む、誰しも一度は願う夢です。どんなに海が嫌いでも、きっと一瞬くらいは、

悪くないなって思う。そういう夢の中の海です。夢の中の「海の近くに住む」に

息を吹き込んだのがこの作品です。そんなにたくさん、海のシーンは出てこないですけどね。

海の近くに住むのは、こんな雰囲気だろうな、という素敵なお家に住んでいます。

家とは建物もそうですけど、家族のことです。暮らす人たちの暮らしのことが家です。

このドラマを見ると、人は家が暮らしなんだなと思います。

そして、家は「ある」んじゃなくて、作っていくものなんだなと思います。

人生は渚の光ようで、無数に輝くどれかの一つだと、そんな気がします。

どれも、遠くから見ると輝いている。きらめきの一つなんだと。近くで見ると、キラキラしない

んですけど、遠くから見ると、キラキラしているんだな、と思わせてくれます。

毎日は、何でもない様にあたりまえに、何かが起きていて連なっていきます。

登場人物たちにも、いつも何かが起きています。だけど、家の中の誰かにとっては

「ああ、渚だ。光ってる」というくらいのことで、吸収されてしまいます。

朝食シーンなど、みんなで食卓に着くとき、騒々しくバタバタしていたのに、

それが少し鎮まります。日々出会う、とがったり、出っぱったりしたものが少し穏やかになります。

それを見るのが楽しかったです。食卓のシーンのために撮ったんじゃないか、というくらい

絶妙に朝食シーンが入ってきます。

特に好きなのが、「そっとしておく」場面がことがよくあるところ。

(「ほっとく」時もありますが)内情に、深く入り込まない のが、良い塩梅です。

それぞれの悩みがあるのですが、人の悩みを見てもそっとして、でも心配もして、時々馬鹿にして、

そんな関わり方なのに、いつしか自らを修繕しているのが、不思議で温かいのです。 これは、

無視をしているのとは違います。誰かに「見られている」というのは、寂しくないです。

寂しくない上に、もう少し頑張ってみようとか、もう少し良くなりたいとか、前向きになれる。

それだけですごいことだと、この家族は知っているのだと思います。

桜貝を張り付けていくシーンを見ていると、そんな気持ちが押し寄せてきました。

多分渚は、波のとがったり、出っぱったりした部分が、光を受けて眩しくなるのでしょう。

登場人物のそれぞれの出来事がキラキラと見える、そんなドラマです。

自分の毎日も、実はそういうことなのかな、と思えてくるので、見るうちに癒されていきます。

2年たって

続編なので、みんな2歳、年齢を重ねた設定になっています。2年間で、どんなことが起きて、

どんな風に変わるのか。大して変化の見えない年数に思いますが、30代が40代に、40代が50代に

ぐんと近づくには十分な年数だと言えます。そして、仕事のポジションが変わったことが

物語に色を付けます。新しい人との出会いや、新しい仕事に対しては1年生なので、

これまでの経験をどう通用させていくかは問題なのです。そんななか、前回に引き続き、

登場人物たちのキャラクターがみんなバラバラで、それがうまく絡み合うのが面白い。

誰の気持ちにも寄り添えるし、誰の気持ちも新鮮に見える、人物描写が巧みです。

例えば「女性」というカテゴリーだけで見ても、主婦層と独身キャリアウーマンと、フリーランスや

シングルマザー、中学生にOL、市長…いろんな立場の人が出てきます。そこに男性も加えて

こちらも様々な立場の人間がいます。それぞれの暮らしぶりがあって、それぞれ人を好きになって、

それぞれ好きになり方が違います。この盛りだくさんな具合がこのドラマの魅力だと感じます。

そして、人を好きになって、自分を好きになれる。自分の暮らしぶりを愛せる。その仕組みが

仕掛けられているのが、見どころなんですよね。寄せては返す波のように。

ふと考えると、自分だってそうなんだな、と思うのです。実はいろんな人と出会って、

いろんな人を見てきたぞ、って気づくのです。そのとき、そのとき、影響を受けて

暮らしてきたんだな、と思えるのです。会うということは、それがもう愛なのかもしれない。

そして、「ん?そんなにいろんな人には会ったことないや」、という人にとっては、

世の中こんなにいろんな人がいるんだ、と思えるドラマではないでしょうか。

感情移入できてもできなくてもいいんです。見た人は誰でも、ちょっと可笑しいなって

笑えるんじゃないでしょうか。可笑しくて素敵だなと思う。

雰囲気を楽しめる、そんな仕上がりの作品になっています。

もったいないじゃないか

もちろん誰かに執着して鑑賞するのも良いと思います。この人のその気持ち、すごく分かる。

これは、私に似ている!そんなこともあるかと思います。沿わせてみる人たちにとっては、

お手本だったりサンプルになるような気がするのです。

もし、ドラマの登場人物と同じような悩みを抱えているのなら、「どうしたらいいのかな」

というのが、「こんな感じでもいいんじゃない」って提案されているような感じがします。

きっと、本当に幸せなのは、「自分の気持ちを自分でしっかり感じる」ことなのだろうな、と

思います。「出来事を考えてみる」ことなのだろうな、と思います。

どの登場人物を見ても、きっと「何も怖くなくて、何も知らないふりをして生きるのは、

もったいないじゃないか」と、そんな気がしてくるのです。

この作品は、もう少し続いて欲しいなと思います。5年後くらい、いかがでしょう。

5年なんてあっと言う間です。初めて、ドラマに合わせて自分も成長してみたい、なんて

気分にさせられた逸品です。もう作られないのは、もったいないです。

年をまたぐことを考えてみると、役者さんたちがすごくて、

2年前の千明(小泉今日子)がちゃんと、千明として生きてきた「2年後の千明」に見える。

他の役者さんもそうです。役者さんとその役の関係が密になっていて、見ているほうは

とても満足できました。そこも忘れず追記しておきます。

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  • みまこんみまこん
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  • 86view
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