アットホームなアラフィフ世代の恋愛ドラマ
一昔前では考えられなかったアラフィフ世代の生き方
キョンキョンは可愛い…というのは、きっと全世界が共通する認識ではないだろうかと私は思う。いや、ちょっぴり誇張しすぎたかしら。もちろん彼女を好きではない人もいることは分かっている。しかし、キョンキョンを見たらキレイでも、美しいでもなく「かわいい」と思う人が圧倒的多数なのではないか。そんなキョンキョンはアラフィフになっても、恋をしたいと思っている。このドラマの中で。それは、一昔前なら何言ってんだ、いくつだと思っているんだと笑われても仕方がなかったかもしれない。しかし、今のアラフィフ世代は自分の身なりに気を使い、生き方に自信を持ち、堂々としている。女を捨てていないのである。独身だから?んー、それはわからない。ただ、キョンキョンはアラフィフ世代の憧れであり、ファッションリーダーであり、生き方のお手本のような人だと言っても過言ではない。
さて、そんなキョンキョンが主演した「続・最後から二番目の恋」であるが、キョンキョン演じる千明と、中井貴一演じる長倉和平は今回もくっつきそうで、くっつかない。お互い想い合っているのにじれったいと観ているほうは思うのであるが、そこがまた年齢的に踏み越えられないところなのか、それでいいと達観しているところなのか、視聴者をやきもきさせるのである。その前の、スペシャルドラマでは性交渉を試みようとラブホテルを探して、ぐるぐる迷走した2人なのに、そのことは「そんなこともありましたねー」で済ませている。それは続編を考えていなかった大人の事情が言わせたセリフなのか、それとも照れ隠しなのか。そんなオジサンとオバサンがどうにかなるのかどうかなんて、若者が見たら、正直気持ち悪いかと思ってしまいそうなのに、視聴に耐えられるどころか人気があって、続編まで作ってしまうなんて、これはやっぱり時代の流れなんだろう。自分の足でしっかり立っている千明のようなアラフィフ世代を認知しているからなのだ。生涯未婚率が上がっている証拠なのかもしれない。私は既婚者だけれども、千明がブティックでガンガン買い物する姿はうらやましかった。独身ならではでしょ。それかお金持ち。
やたらモテる2人の謎
今回は千明の昔のオトコが現れたり、長倉和平に市長や娘の同級生のママが接近したりする。千明は内田有紀演じる和平の妹の万里子からも好意を寄せられる。しかし、好意をきちんと受け止め感謝する姿勢に好感が持てる。そういうところが人を引きつけるのだろうなと思う。特に、市長の秘書として働く和平は、市長の想いと仕事を混合しない。大人なのだ。これが若い子のドラマならば、仕事中でも恋愛のことで悩んだりする。仕事と恋愛の比重が年齢によってちがうのだ。独身が長い2人は仕事が自分の生活を支えるたった一つの手段だと知っている。和平には守るべき家族もいる。恋愛ごときにブレたりしない。そういう少しストイックなところがモテるのかもしれない。大体、中井貴一は誠実を絵にかいたようなキャラクター。この役をやるなら彼しかいないと思わせるものを持っている。千明のことが好きだから、他の女性になびかないわけではなくて、千明はもう家族の一員のような人と認識しているような気がする。
千明の元彼の真平は、今回、知美と結婚する。知美はその前に和平のことが好きだった。なのに、このドラマでは全然ドロドロしたところがなくて潔い。付き合い方、別れ方がきれいだからなのかな。知美も千明に真平のことを相談していたりするのは、もうライバルでも何でもない頼れるお姉さんになってしまっている。実際は娘のような年齢なのに。そう思わせないのがやはりキョンキョンだから。もうドラマと現実のキャラクターが混合してしまう。これはひとえにキャスティングの素晴らしさ。
これからの2人はどうなるのか
キャスティングといえば、私がぴったりだと思ったのが、益若つばさ。若い脚本家の役だったんだけど、すごく良かった。
千明と和平の今後なのだけれど、私の推測ではもうこれ以上進展しないのではないかと思う。2人は一番気の合う親友のようなもの。お互い淡い恋心のようなものを抱いていても、形にしたら壊れてしまいそう。それに千明には、最後から二番目とは言わず何度も恋愛のチャンスは訪れるような気がする。そのたび、やっぱり和平の隣の居心地の良さを改めて知ることになる。年をとっても何度でも、人は恋愛をする。老人ホームで恋愛が原因で刃傷事件が起こる昨今。若いうちは、そういうことが考えられなかった。少し気持ち悪くて…。色ボケかよと思っていたわ。そういう面では元気な人もいるのよね。
アラフィフ世代の恋愛なんて興味ないと思っていたけれども、こんなにさわやかで、あたたかい話だったらもう一度スペシャルドラマや、続編を期待してしまう。でも、終わりは想像つくよね。結ばれそうで結ばれない2人なの、結局。ぐるぐる回って元通りが心地よいのさ。
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