少女マンガ原作のわりにはバトル展開が多いですね - ふしぎ遊戯の感想

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ふしぎ遊戯

4.754.75
映像
4.50
ストーリー
5.00
キャラクター
4.75
声優
4.50
音楽
4.50
感想数
4
観た人
8

少女マンガ原作のわりにはバトル展開が多いですね

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

独特の世界観ですよね

書物の中の世界に入って、物語が展開していく様子が独特だと思いました。少女マンガってこういう展開が多くて、ジャンルとして確立しているものなのでしょうか。少年誌でも現実社会から空想世界に吸い込まれて、話が展開していく作品は多いです。しかし少女マンガ・アニメ作品で、こういう描き方するのって、珍しいのではないでしょうか。イメージ的には、その設定に、映画「ネバーエンディングストーリー」のようなものを感じました。

現実世界と書物の中の空想世界を行き来するのも、なんとなく似ていますよね。

しかし決定的に違うのは、入り込んだ先の世界観ですよね。映画「ネバーエンディングストーリー」ではファンタジー世界の王道のような世界観でした。しかし「ふしぎ遊戯」では、古の中国っぽい世界観で構成されています。また朱雀や白虎、青龍、玄武の四神という題材をつかうのも、どこか、少年誌チックな展開だと感じさせます。またそれぞれにの四神に巫女という設定があり、それぞれに七星士という守護する存在があることも「聖闘士星矢」を連想します。アテナを守護する聖闘士、また海皇ポセイドン、冥王ハーデスといった神々の存在に、それぞれ守護する衛士という存在があって、戦っていく展開も似ている気がします。

きっと色々な作品から、色んな要素をうまく組み合わせて、独特な作品に仕上げられたのだろう、と推測いたします。

この着眼点や発想と世界観は、原作者の素晴らしいところだと思います。

やっぱり恋愛要素が根幹といえる

少女マンガって、そんなに読まないし観ないのですが、バトル展開の多さで、比較的に見通すことができました。しかし、やっぱり少女マンガらしい展開が、この作品の本筋ですね。主人公の美朱(みあか)のキラキラ恋愛要素が強いです。真っ直ぐ一途で、少々おっちょこちょいな元気キャラクターという設定は、少女マンガの王道なのでしょう。

少ししか観たことないですが、「ママレード・ボーイ」「ときめきTONIGHT」などの主人公と非常にイメージが重なる気がします。また少年誌における恋愛の描き方、少女マンガにおける恋愛の描き方の違いが楽しめた、と思います。

お互い好きであることが観ていてひしひし伝わるのですが、くっつきそうで、くっつかない展開がモヤモヤとさせます。少年誌における恋愛要素って、片思いという要素が強いと思うのです。相手がどう思っているのか、敢えて分からなくさせることで告白という部分に比重を置いている気がします。それか、お互い好意をもっていれば、パッとくっつきますよね。

また恋敵の存在が、少女マンガにおいては重要な要素になっている気がします。そのキャラクター自身の故意であろうと、そうでなかろうと、悪い方向に作用させることが多いように思います。

どうやら、私自身には少女マンガの描き方って、合わないんでしょうね(笑

物語展開がドロドロとしてる

美朱の親友であった唯が空想世界で男たちに襲われ汚されてしまい、美朱に悪意をもち、神座宝の争奪戦が始まります。この展開と設定が少年誌ではなかなか見られないほど、ドロドロしています。また親友だった唯の少しずつ人格が壊れていく様子が、機動戦士ガンダムにでてくる強化人間であったり、または昼ドラで有名な「牡丹と薔薇」みたいなものを連想させます。こういう情念や恨みという部分が、とても強調され強く描かれているのに恐怖を覚えました。

一見、唯というキャラクターは、ショートカットの美人で活発であり、知的な部分を兼ね備えており、魅力的だと思うのです。しかし恨みという部分が協調されることに、彼女という存在が恐ろしく描写されています。物語の最初のイメージ、そして見た目、それから見た目はそのままに恐ろしく変貌してしまった彼女、このギャップが凄く怖かったです。

そして、唯は神座宝の争奪戦に勝ち、青龍を召喚して願いを叶えるのに、その最後がとても悲しいですよね。唯って、悲し過ぎますよね。なにひとつ、幸せなことなんてなかったように思うのです。主人公を美化して描くことで、なんとなく物語は良い終り方をすると思います。しかし、振り返って考えてみると、唯という存在が気の毒過ぎると思うのです。

朱雀七星士たちが命を懸けて、美朱を守っていく場面では泣かされました。なかなか少女マンガでは描かれない「義」という部分が協調されていました。守るべき存在の主君を、命を落としてまで、守っていく姿には胸を打たれます。そして美朱の親友である唯も、悲しい結末を迎えます。

しかし、そんな犠牲の上で、美朱は幸せになりますよね。それが悪いとは言いませんが、しかし払った犠牲が、あまりにも軽んじられている気がするんですよね。

だから、美朱は幸せになることも、素直には喜べない自分がいます。

私自身としては、鬼宿を転生させることなく、そのまま終わってほしかった気がします。美朱はなんとか生き延び、鬼宿の生れ変りではなく、別の存在と結ばれる結末が良かったように思うのです。

物語そのものは少女マンガ作品としては、とても楽しめたし、良い作品だと思うのです。ただ最後の最後の展開・結末だけは、私の中では消化不良です。

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4.04.0
  • まいぴんまいぴん
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  • 615文字

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