人生を生き抜くことに意味があるということを教えてくれた作品
目次
松子が亡くなるまでの濃い人生を描いた作品
”嫌われ松子の一生”はタイトルを見たときどんな人生なのかととても気になりました。また松子とはどのような女性なのかと、タイトルを見た段階で不思議と疑問が浮かび上がり、作品を早く見たいという気持ちにさせられました。
元々小説が原作ということは作品を見た後に知りました。小説はあまり読まないので全然知りませんでしま。友人が、小説で読んだと言った時は、先をこされた、と思いました。
主人公の松子を中谷美紀が演じとても話題になりましたが、その期待を裏切ることなく素晴らしい演技を見せてくれたと思います。松子が53歳で亡くなるまでの人生は非常に濃くて忘れがたいものでした。子供に教える立場である中学校の教師でしたが、その時に起きた事件後彼女の人生は少しずつ崩れ始めました。人は、ある特定の事がきっかけとなりついさっきまでしていた生活が一気に崩れてしまう時があります。崩れ始めると、また崩れるかなと考えてしまったりとマイナス思考になります。松子は、教師をやめますが、この時やめていなければここまで辛い人生にはならなかったかもしれないと思ってしまいました。もう一踏ん張りで人生が変わっていたかもしれない、と考えてしまいました。しかし過ぎたことは戻せません。それが松子の人生でした。松子の濃い一生は中谷美紀によって完璧に演じられていくのでした。その興味深さに目が離せませんでした。
松子の恋事情から浮かぶ相手役の個性派俳優達が、松子の人生を更に盛り上げていき目が離せない状況にさせる
松子が教師をやめてから知り合った小説家志望の男とは、恋に落ちます。しかし彼は松子の目の前で電車にひかれて亡くなります。自分の力不足に心が折れ、自殺をはかるのでした。なぜ松子の目の前で自殺したのでしょうか。愛していた女性の目の前で命を捨てる行為は彼女への愛が全て偽りであったかのように感じてしまいました。妻子ある男性と知らずに恋をした松子の姿はとても悲しく映りました。松子が犯罪をおかして逮捕されますが、男性の待つという言葉を素直に信じていた松子の表情は新しく輝く未来への希望に導かれているようにも見えました。それなのにまた彼女が裏切られた時は、彼女の男性運のなさに悲しくなるというよりは呆れてしまう程でした。その展開がさらに視聴者をくぎ付けにしたのは事実だったと思います。松子の恋愛への興味がさらに深くなっていきます。
松子は生きていく中で数人と、恋に落ちます。それはごく普通のことで誰もが経験するものです。しかし松子の場合は、相手の男性に問題がある人、つまり特徴的な人ばかりでした。その相手役を有名俳優が演じていました。ひとつひとつの恋愛から目が離せなく、松子の愛した男性との物語が色濃く表現されていたので、とても楽しめました。松子の恋した男性役に完璧ともいえる俳優を設定し、作品の成功を狙ったのではないでしょうか。恋愛相手役に力を入れて中谷美紀の演技もさらに盛り上がりを見せ、決して視聴者をあきらせないという監督の狙いにまんまと引っかかっていることに気が付きました。
対象的なメロディーを入れることで表現した悲しい松子の人生
松子の凄まじい恋愛を、ただ悲しく暗い印象にしないために、工夫されていると感じた部分があります。それは、音楽です。明るくポップな印象のものを取り入れて映像の中に松子の暗い人生を、まるで明るく楽しくみれるようにそむけます。暗く悲しいイメージが、一転していく凄さに魅了されました。音楽の凄さとは、見ている人を楽しい気持ちにさせてくれるところです。それぞれの場面に合ったメロディーを選択することで、作品をさらに面白いものにしてくれると改めて感じさせてくれた作品でした。ここまで作品の内容と音楽のメロディーに違いがみられたものはなかったです。そんな新しい発見と共に、松子の一生は描かれていくのでした。
松子の人生はどんな意味があったのか考えてみる
松子の人生は、教師というエリートから始まり最後は公園で殺されてしまうという悲しい結末で終わります。何故か最後には彼女の思い出が蘇り、幸せそうに見えました。死んでいくことが松子にとって幸せなのか分かりませんが、松子は松子なりに自分の人生を生き抜いたと言えるでしょう。様々な出来事が彼女を襲いましたが、最初に小説家志望の彼のように自ら命を捨てることはどんなことがあっても許されることではありません。松子が生き抜いた人生は作品をみた人に立ち向かう精神を教えてくれた気がします。愛情を注いでは人に裏切られ、傷付きました。それでも前を向き自分の運命と向き合うことの出来た彼女は、人生をまっとうしたといえるでしょう。最後まで生きた意味があったのです。人は皆違った運命を持ち、それに立ち向かいながらも生きていきます。傷付くこともあるでしょう。もう生きることをやめようと思うかもしれません。それでも価値のある命を捨ててはいけないのです。
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