コメディと宗教的ホラーが共存している作品 - インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説の感想

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コメディと宗教的ホラーが共存している作品

4.54.5
映像
4.5
脚本
4.5
キャスト
5.0
音楽
4.5
演出
5.0

目次

すぐに窮地に陥るインディ・ジョーンズ先生と優秀な助手ショート

インディ・ジョーンズ先生はなぜかストーリーが進むとすぐに窮地に陥る場面があります。上海のギャングとの取引では出されたシャンパンに毒が入っているのに気づかずに飲んでしまい、解毒剤を手に入れるために四苦八苦します。カーチェイスの末死んだ協力者が手配してくれたと聞いて乗った飛行機はギャングの関連会社の飛行機で、安心して眠ってしまっている間に燃料は捨てられ、パイロットにまで逃げられてしまいます。パンコット宮殿の地下に潜入したのはよかったけれど、カーリーの血を飲まされてしまい、ウィリーの命を危険にさらします。ショートの機転でカーリーの血の呪縛から逃れた後は、マハラジャが持っている人形で攻撃されてしまいます。呪いから解かれたマハラジャがせっかく教えてくれた出口も、間違ったほうに進んでしまいます。

インディは窮地に立たされるのは何か考えや作戦があり、わざと敵を有利な立場にして油断させておき、逆転を狙っているのではないかと思えるところもあります。カーリーの血を飲まされるところも、あらかじめ操られないような細工をしておいて、わざと飲まされ操られている演技をしているのではないかと思うぐらいです。しかしそれはインディを買いかぶりすぎた考えだったようで、何をするにも特には何も考えていなく、行き当たりばったり的に行動しているのがストーリーが進むにつれわかってきます。特に最初のギャングとのやり取りは他に作戦は用意していなかったの?と思うぐらいで、わからなかったとはいえ自ら毒を飲み自ら敵の飛行機に乗るなんて間抜けとしか言いようがありません。せっかく有利な立場に立ったとしても危機を自ら招いていればどうしようもないですね。自ら窮地に飛び込むインディに対し、インディを窮地から救うのはいつもショートです。ショートは優秀な助手のようで、子どもであるにもかかわらず車の運転まででき、ギャングの追跡も振り切ります。インディとマハラジャの呪縛を解いたのもショートで、ショートがいなければインディは多くの窮地を脱出できなかったでしょう。

戦いの女神「カーリー」と「サギー教」

「カーリー」はインド神話の女神で血と殺戮を好む戦いの女神です。シヴァ神の妻であり、全身は黒色で3つの目と4本の腕を持っています。牙をむき出しにした口からは長い舌を垂らしています。飾りとして首からは、骸骨や生首をつなげた首飾り、腰には切り取った手足をつけています。シヴァの神妃パールヴァティーの憤怒相とも言われています。現在でもコルカタにあるカーリーガート寺院では毎朝、山羊による生贄が供養されているようです。

「サギー教」はヒンディー語で「タギー」といわれ、かつてインドに実在した暗殺集団です。ヒンドゥー教の死の女神カーリーへ、殺した人間の血を捧げていたようです。映画の中の「サギー教」でも人間を捧げものとしています。映画では、洗脳するためにカーリーの血を飲ませ、司祭であるモラ・ラムは怪しげな呪文を唱え人間の心臓をえぐり取ります。しかし、実際のタギーでは血はカーリーに捧げるものとして流血を禁じていたようです。そのため殺害の方法としては絞殺に限っていたようです。絞殺に使用していたのは「黄色いスカーフ」で、これはカーリーの神話からくるところだったようです。万が一持ち物の中からスカーフが見つかっても罪にとわれる可能性が少ないということから、凶器に用いたというふうにも言われています。

インド神話に出てくるさまざま神様

この映画で出てくる「カーリー」はインド神話の女神ですが、インド神話には一度は耳にしたことのある神様の名前が多く出てきます。それは多くの日本人が進行している仏教にこのインド神話の神様がかかわっているからだと思われます。以下の神様の名前を耳にするのはスピリチュアルアイテムが普及していることも影響しているのでしょう。インド神話の神様は大きくデーヴァ神族・アスラ神族(阿修羅)・ラークシャサ(羅刹)・ヤクシャ(夜叉)・その他の5つに分けられています。よく耳にするシヴァ・ヴィシュヌ・ガネーシャ・ハヌマーン・クリシュナ・ラクシュミーなどはデーヴァ神族となります。

仏教名があるのはサラスヴァティー(弁天)・ハヌマーン(大猿王)・クリシュナ(黑天)・インドラ(帝釈天)・ヤマ(閻魔)・クベーラ(毘沙門天)・ナラクーバラ(那吒)・ハーリティ(鬼子母神)です。カーリーが属しているのはデーヴァ神族で、デーヴァはサンスクリットで神を意味する言葉です。女性系はデーヴィーとなるようで、カーリーは女神なので正確にはデーヴィーとなるのでしょう。

インド神話とひとことにいっても3つに大別されており、ヴェーダ神話はバラモン教に、叙事詩・プラーナ神話がヒンドゥー教に属していて、残りのひとつであるブラーフマナ・ウパニシャッド神話はバラモン教・ヒンドゥー教両方を繋いでいるようです。

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