今まで読んだ中で一番好きな作品
森見登美彦さんの作品はいくつか読ませていただいているのですが、全て世界観に圧倒されております。
この太陽の塔という作品も、その一つです。まず、物語のスタートからびっくりです。
主人公は京大生なのですが、
かつて付き合っていた女性の研究と題し、女性の行動を観察します。ストーカーとは決して言わない、しかし京大生という頭のいい次元の人間はもしかしたらやるであろうその研究、その物語の始まりから世界観に引き込まれます。
物語は一緒にいる仲間や、もう一人のストーカー遠藤の出現とともにクリスマスに向けてゆるりと展開していくのです。
いけてない学生たちの織りなす、恥ずかしい青春がとても楽しく描かれているのです。
注目すべきは、小出しにでてくる小さなエピソードです。いけてるイベントサークルに対抗し、「男汁」といういけてないイベントサークルを作ったり、鴨川の男女男女とカップルが並ぶその秩序を乱したり、といけてるやつが楽しくいけいけに過ごしてる中で、いけてないやつも生きてるんだぞ。というエピソードの数々。僕もいけてない大学生活を送ってきたのだが、森見さんは、僕らに胸張って生きろとそう伝えているように思います。いけてないやつらも面白いんだよってのを全面に押し、でも彼らはなんだか生き生きしてかっこいいのです。
逆にいけてるやつは、この小説を馬鹿にしながら読むんだろうなと思うと、ただ面白いへんてこな小説ってだけでこの物語の本質を見抜けないだろう。
森見さん、いけてない人のいけてないがむしゃらな生き方、僕にはできるかわからないけどやってみます。
最高の作品です。
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