青春ミステリーの新たな金字塔
大学受験を控えた高校3年生の同級生が、突然校舎の中に閉じ込められる。どうやら、同じ学年の同級生が自殺したことに関係がありそうだが、その自殺した同級生の名前がどうしても思い出せない・・・ひょっとしてこのメンバーの誰かが自殺したのではないか?まさか自分はもう死んでいるのではないか?と疑心暗鬼になりながらも、謎を解き校舎の外に出ようとする高校生たちのミステリー小説です。「校舎の中に閉じ込められる」というシチュエーションだけで、これから何が起こるんだろう?とわくわくさせられます。登場人物全員が、「自殺した同級生はだれか?」という謎を共通で解き明かそうとしながらも、閉ざされた空間・閉ざされた人間関係の中では、おのずと自分を見つめなおすことになります。隠していた自分の弱さや、気づかずにいた心の傷、誰かへの想いを自覚する場面は圧巻で、読み応え十分です。少し大げさに描きすぎ?と思うような、良くも悪くも漫画風(もしくはいわゆるライトノベルらしい)登場人物のキャラクター性も、この場面の中ではうまく描かれていると思います。
「ロードムービー」という短編集で、登場人物のその後を描いたスピンオフが読めます。大人になった彼らとまた出会えるのはとても嬉しかったです。
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