読み始めた瞬間のわくわく感は随一!
単行本版の帯のイラストが何とも衝撃的な1冊です。
とある大きなショッピングセンターで謎の災害が起き、逃げ惑う人々が将棋倒しにあったり転んだりして命を落とし多くの人がけがをします。なのに、ショッピングセンター内では何も起きていなかった。いったいなぜ人々は逃げ惑い死ななければならなかったのか?を、タイトルの通り「Q&A」方式で関係者へ質問をしていく物語です。
この独特な表現方法に多くの人がわくわくしてページを開いたことだと思います。関係者の中には実際にけがをした当事者から、被害者の家族、人々を救出するために活動したレスキュー隊員など様々な人がおり、それぞれの視点から事件のことが語られます。その中で、一見関係ないような個人の問題や悩みが表出し、物語に深みを与えています。このままQ&Aを続ける中で事件の真相が明らかになるのか?と思いきや、思わぬ方向に話が飛んでいくのは、恩田陸さんならではかもしれません・・・。
いわゆる、「伏線を回収しない」小説が多いことでことで、恩田さんの作品は評価が大きく分かれるところだと思います。この小説も、前半部分に出てきたたくさんの伏線や思わせぶりな回答を置いてけぼりに、ファンタジー路線に話が飛んで行ってしまうので、「そう来たか」とがっくりしてしまったことも事実です。しかし、物語の始まりから半ばまで読者を引きつける手法はさすが!と言いたいところでもあります。
ラストでまたがっかりしてしまうかもしれない、と思いながらも、それまでのわくわく感を感じたいがために恩田さんの作品をついつい手に取ってしまいます。
願わくば、きちんと解決する話として、もう1つの「Q&A」が読みたいものです。
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