世界の中心で、愛をさけぶのあらすじ・作品解説
「世界の中心で、愛をさけぶ」は2001年発表の片山恭一による青春恋愛小説である。 映画、漫画、テレビドラマ、舞台などで「セカチュー」と呼ばれ話題になった。 中学2年のサクとアキは同じクラスで学級委員となり仲良くなる。同じ高校に進学し、付き合い始めるがアキの体調が悪く、入院することとなりオーストラリアへの修学旅行には参加できなかった。アキが白血病だと知るサク、アキの両親は体調が良くなったら一緒にオーストラリアへ行って欲しいとサクに頼むが、アキの体調は悪化していく。サクとアキはオーストラリア旅行を強行しようとサクの祖父からお金を借り、アキの誕生日に合わせて飛行機のチケットを手配した。病院を抜け出したが空港でアキは倒れ、回復することなく亡くなる。数年後サクはアキの両親とオーストラリアで散骨をし、アキとの思い出の地でも散骨をしようと試みるが結局やめる。大人になったサクは新しい恋人を連れ地元に戻りアキとの思い出の地を案内しながら散骨をする。
世界の中心で、愛をさけぶの評価
世界の中心で、愛をさけぶの感想
生と死、愛
『世界の中心で愛をさけぶ』この本を読み続けている間、心が静かにゆらゆら、揺れていた。涙が今にも、溢れ出しそうな状態が最初から最後まで続いた。気をぬくと、流れ出してしまいそうな涙。『一人で生きる人生は、ただ長く、退屈なものに感じられる。ところが好きな人と一緒だと、あっという間に分かれ道まで来てしまうのである。』好きだった男の子のことを思い出した。いろんなことが、あっという間に過ぎていく。世界に、色がついて見えるようになったわけじゃない。もともと色はついていた。だけど、見えるもの、聞こえてくるもの、感じることは、すべて彼を中心に、編み変えられていった。好きな人と共有した時間は、たとえ今、全然違う人と共に人生を過ごしていたとしても、よみがえってくる。今も好き、とか、そういうことではなくて、ただただよみがえってくるだけ。今と結びつかないところの時間として、今はもう、そこには決して介入できない時...この感想を読む
心の中で染みわたる、このじんわりと熱いもの
比喩などは少ない一方、感情表現に重きをおいていて朔太郎の心理描写はありありと胸に迫る。主人公、松本朔太郎が病気で亡くなったアキとの思い出を振り返り、未来へと一歩踏み出す物語。また、朔太郎と彼女のアキの愛と悲哀の満ちた物語。感慨深い一冊でした。TVドラマ・映画にもなった話題作。極自然に恋人となった運命的な二人、朔太郎とアキ。しかし病魔が静かに忍び寄っていく。クリスマスイヴのラジオから空港の有名なシーンに至るまで、ストーリーは実にシンプル。おじいちゃんと朔太郎の会話からは生死や愛に対する真摯な思いが伝わってきます。ラスト、ふとした瞬間に朔太郎がお別れに踏み出す静かな余韻がいいです。 「目に見えるもの、形あるものだけが全てだと考えると、わしらの人生はじつに味気ないものになるんじゃないかね」確かにそうかもしれない。見えないものによって生かされている部分が人間どこかしらにあるだろう。死生観と”世界...この感想を読む
腫れたまぶたで登校した日
ページをめくったら最後。読み終わるまで本から目が離せない。一気に読みたくなる作品だ。私は、夜~深夜2時くらいまで読み。その後は、感傷にひたり。目を腫らした。当時、高校生だったので、翌日ひどく腫れたまぶたで登校し友人に心配された記憶がある。この作品を皮切りに「ラストには愛しき人が亡くなる」だとか「病気の恋人が……」という手の作品が増えたような気がする。それほど、世の中に影響を与えた作品だ。また「純愛」という言葉を知らしめたのもこの作品だと思う。この作品以上の純愛はあるのかな?まだ読んでいない若者にもぜひ読んで欲しい。まぶたを腫らして登校して欲しいと思う。いい思い出になるだろう。