ヘビーな伊坂小説。
まず物語の設定が重い。「私」の弟である「春」は母親が強姦されたときに身ごもったときの子供であり…そのほかにも物語に出てくる一人ひとりに逃れられない悩みがあり…といった調子で中盤に入るまでは物語が進みます。しかしこれが伊坂氏らしさというのかその設定の割りにその話ほど重くは感じないのだ。あくまで割りに、だが。理由として伊坂節とも言うのか軽やかというのかキザといいうのか、そういった台詞回しや場面展開によるものかと思います。しかしこれはミステリーではありません、かといって家族愛というには感情移入しにくい設定のうえキャラ作りである。強いて言うならばこの物語にある様々な犯罪の起こりうる世の中に対するアンチテーゼを解いていくためのものなのだろうか。もしそうなのだとするならば、そのようなテーマをこのような軽やかなテンポで美しく書かれている小説としては良い評価をされてもいいと思います。もしかしたらそういった意味をこめての「重力」「ピエロ」といった意味も含むものなのかも?
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