ぼくの小鳥ちゃんの感想一覧
江國 香織による小説「ぼくの小鳥ちゃん」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
期待どおり江國ワールドの魔法にかけられて(本作にぴったりの一曲を添えてみた)
江國ワールドの魔法にかかる江國香織は、枠をもたない。普通という概念がない。1+1が、江國ワールドでは1.5なのなら、それは1.5なのだ。不思議ちゃんとユーモアは紙一重であり、江國さんは、1.5を最後まで突っ走るから、一見滑稽だと思えるものも、ユーモアに見えてくる。どんなに障害が降ってこようと、我が物顔でびしびしとそれを跳ね除けるから、1.5が魔法のように魅力に変わる。『ぼくの小鳥ちゃん』もそう。“ぼく”の彼女は、花で言うと黄色いカーネーションのように清潔で、数字で言うと2のように気がきいている。らしいが、そんなわけはない。普通に考えれば、黄色いカーネーションが清潔であるとは限らないし、2が気がきいているなんて、聞いたこともない。しかし江國ワールドでそうであるなら、そういうことなのだ。そうして読者には、知らないうちに、2がきらきら輝く一等星みたいに素敵に見えてしまうのだ。もう2しか見えない。それはもうまる...この感想を読む
小鳥ちゃんが可愛いです!
寒い日の朝、突然ぼくの部屋にやってきた小鳥ちゃん(白文鳥らしい)と、僕とその彼女の日常のお話。1時間もあれば読めてしまいます。挿絵がなかなか味があっていいです。この物語には、固有名詞はありません。そして「ぼく」は、「小鳥ちゃん」と会話ができます。なぜだろう?どうも、この小鳥ちゃんだけではなく、以前この部屋に住みついた事のある小鳥ちゃん(雀)とも会話できていたらしい。。ので、これは僕の能力なのだろう。魅力的な小鳥ちゃんのちょっとしたわがままに振り回されているぼく、と、そんな小鳥ちゃんにも親切に接する彼女。。に、小鳥ちゃんは少しだけ嫉妬しているようにも見えます。写真立てを倒したりとか。いつも一緒に居る、「彼女未満」の存在である「小鳥ちゃん」と、人間の「彼女」との狭間で揺れ動いている、「ぼく」の心情が面白かったです。でもこれって、ペットを溺愛する恋人を持つ人には、「彼女」の心は理解できるもの...この感想を読む
可愛い小鳥ちゃんが迷い込んで…
寒い冬のある日突然迷い込んだ小鳥ちゃん。僕と彼女と小鳥ちゃんの共同生活が始まります。優しくて、可愛くて、夢のあるまるで童話のようなメルヘンチックな物語です。わがままでありながらキュートな小鳥ちゃん。時には、僕の彼女に嫉妬したり、いたずらをしてみたり。まるで三角関係のような関係が江國香織さん特有のやわらかい文章で書かれています。挿絵と相まって、頭の中にその光景が鮮明に描くことができます。オシャレな、外国のような雰囲気が感じられます。思わず、自分も小鳥ちゃんと暮らしてみたいと思ってしまいました。物語と同じように、寒い季節に温かいお部屋で読むのにピッタリです。
小鳥ちゃんがかわいい♪
雪の日の朝、ぼくの部屋に舞い込んできた、小鳥ちゃん。ぼくはその文鳥に似た小鳥のことを、小鳥ちゃんと呼ぶ。ぼくと小鳥ちゃん、ぼくと彼女。小鳥ちゃんは、ちょっとわがままなところもあるけれど、ぼくと彼女にヤキモチを妬いて、写真たてをパタンと倒しちゃう女の子っぽい一面もある。ある日、小鳥ちゃんは1階上の老夫婦の所へあそびに行く。それを知って、ぼくはちょっと拗ねる。このあたりが、なんともかわいらしくて私は大好きなんです。ページの中には、物語に沿った、荒井良二さんの挿絵も書かれてあって、これも可愛い。家にいる、文鳥ともこんな生活ができたらいいなって思います。