ぼくの小鳥ちゃんの評価
ぼくの小鳥ちゃんについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が4件掲載中です。
各項目の評価分布
ぼくの小鳥ちゃんの感想
期待どおり江國ワールドの魔法にかけられて(本作にぴったりの一曲を添えてみた)
江國ワールドの魔法にかかる江國香織は、枠をもたない。普通という概念がない。1+1が、江國ワールドでは1.5なのなら、それは1.5なのだ。不思議ちゃんとユーモアは紙一重であり、江國さんは、1.5を最後まで突っ走るから、一見滑稽だと思えるものも、ユーモアに見えてくる。どんなに障害が降ってこようと、我が物顔でびしびしとそれを跳ね除けるから、1.5が魔法のように魅力に変わる。『ぼくの小鳥ちゃん』もそう。“ぼく”の彼女は、花で言うと黄色いカーネーションのように清潔で、数字で言うと2のように気がきいている。らしいが、そんなわけはない。普通に考えれば、黄色いカーネーションが清潔であるとは限らないし、2が気がきいているなんて、聞いたこともない。しかし江國ワールドでそうであるなら、そういうことなのだ。そうして読者には、知らないうちに、2がきらきら輝く一等星みたいに素敵に見えてしまうのだ。もう2しか見えない。それはもうまる...この感想を読む