いぬやしきの評価
いぬやしきの感想
緻密すぎるその絵の巧さと社会への問題提起が心に響く
よく似ているが進み方は断然いぬやしきみなさんも思い出すことだろう。グロさ極まりないあの黒づくめの連中の生きざまを。その作者である奥浩哉さんが手がけるこの「いぬやしき」は、ガンツとは違って終わりがなんとなくわかってる。そしてそこまでが本当に…切なすぎて、苦しすぎて、それでも人が生きていくことを無情に感じてしまう。そんな物語だ。まさかの宇宙人ネタ、そして人の改造という序盤。「なんだガンツのパチモンかよ」と思ってごめんなさい。号泣もんの展開となっている。何でもない日常の中で、まったく接点のなかった犬屋敷(中年男性)と獅子神(男子高校生)。そんな2人は、まさかの宇宙人と遭遇。しかも宇宙船がミスって着地したっていうことで、同時刻に、同じ場所で、宇宙船不時着によって粉々にされてしまう。「やべーよなんか消しちゃったよ!」って焦った宇宙人が、サービス精神旺盛すぎるだろ!って具合に全身最強のロボットにし...この感想を読む
グロさ・美しさ・熱さで人間と日本へ強くメッセージを残す
前作継承かと思いきやまさかの展開奥浩哉先生と言えば、あのスーツを着たあの戦いでしょう。あのグロさと生への渇望、非道とかいうレベルじゃない残虐な世界には衝撃を受けました。終わりは…?といった感じでよくわからず…不完全燃焼でモヤモヤしまくっていたので、まさかこの「いぬやしき」がこんなに読み応えあるとは思いもしませんでした。ガンツと同じ宇宙人ネタなんですけど、宇宙人は最初のときだけの登場ですからほっと一安心。でも序盤はまさかガンツの続編か?という不安すらよぎってしまうシーンがいくつかあります。どこにでもいる平凡な中年男性と男子高校生。この二人が偶然同じ場所に居合わせ、そこでたまたまそこにドーンと不時着してしまった宇宙人に木っ端みじんにされてしまうところから物語は始まります。え?早速死ぬの?というこの衝撃的な展開は…まさにガンツの彼が列車で引かれて…っていうシーンがすでに頭に浮かびました。似て...この感想を読む
奥浩哉氏ならではの世界観
「いいとこ取り」が得意な奥氏の「面白さ」の集大成いぬやしきの著者、奥浩哉氏は、他作品をオマージュして「面白さ」を抽出し、さらに面白いオリジナル作品を作り上げることに秀でている。いぬやしきの前の作品、GANTZもそうであったが、奥氏ご本人もザンボット3をオマージュしたと公言しており、さらに大友克洋氏のAKIRAや藤子・F・不二雄氏のパーマンなどからおいしいところを抽出したような作品であった。いぬやしきは、アメリカ映画のA.I.や、小畑健氏のCYBPRGじいちゃんG、奥氏自らの作品であるGANTZ、手塚治虫氏の鉄腕アトム、高橋しん氏の最終兵器彼女などから「いいとこ取り」をしている感があり、それが奥氏独特の作風ですばらしいオリジナル作品になっている。たまに他作家の作品と似通った作品があると、パクリと言って嫌悪されてしまう場合が多いが、奥氏の場合は他作品への敬意あるオマージュとして読者に受け入れられるよう、非常にオリジナ...この感想を読む
いぬやしきの登場キャラクター
犬屋敷壱郎
よみがな:いぬやしきいちろう 年齢(作品時):58歳 性別:男性 家族構成:妻、高校生の娘、中学生の息子 性格:正義感は強いが温厚かつ内向的 特徴:白髪に皺だらけの老け顔 癖:小刻みに震えている 物語上での目的:兵器ユニットを搭載された機械の体を使って人助け 愛車:マツダ・デミオ 病状:胃がん