娘の家出のあらすじ・作品解説
娘の家出(むすめ の いえで)は、志村貴子の漫画作品で、ジャンプ改特別編集ガールズジャンプ2012に読み切り掲載、その後ジャンプ改にて2012年11月号から2013年1月号まで連載、2015年1月号からはミラクルジャンプに移籍し連載しており、単行本として2巻を刊行している。 今作品は、複雑な家庭事情を理由に家出をした女子高生・まゆこを中心に描いている。 父が彼氏と同棲する家に娘・まゆこが訪れた。母とケンカでもしたのかと聞くとまゆこは母の再婚が決まったという。母の結婚相手はいい人ではあるが知らない人という感覚が抜けないことから、一つ屋根の下に住むことに抵抗があったのである。そこで、しばらくの間、父とその彼氏が同棲する家に住みたいと言い、高校卒業後は大学の寮か、会社の寮に住みたいという。 父と彼氏は、離婚の経緯を思い出して話しあったり、もしかしたら新しい父に何かされたのではと勘ぐってしまうのだが、まゆこは離婚の現委員である父やその彼氏に一言恨み言をぶつけてやることが目的だった。そして、まゆこが本当に困っていたことは別にあった。それは一体!?
娘の家出の評価
娘の家出の感想
苦みを知っているからまっすぐでいられる
悩みながらも進んでいく人の道注目すべきは第1話。物語の中でずっと主軸になるまゆこの話である。母親の再婚を聞き、すぐには受け止めきれなかったまゆこ。別れた父親の家にしばらく泊めてほしいと言う。決して母親の事も、新しい父親の事も、嫌いなわけじゃない。ただ自分がどんな面持ちで望んだらいいのかがわからなかった。まゆこの両親が別れた原因は、父親の不倫。しかも、父親は実はゲイであったことをカミングアウトし、ぽっちゃりしたおっさんと暮らしていた。しんちゃんも、お父さんも、お母さんも、お母さんの彼氏も。みんないい人で、何が悪かったのかがわからない。だけど、不倫してしまったことはきっと両方に責任があって、約束を破ったことや嘘をついていたことは、謝罪しなくてはならないことなんだと思う。しんちゃんに関しては、登場の時点ではただの居候かと思っていたけれど、見た目ノーマル男子で若干オカマな、お父さんのパートナー...この感想を読む
様々な娘たちの道を正直に描く
世の中いろんな人がいると知るこれはほんとにね、一話目から衝撃だったと思います。いろいろな読者さんがそう言ってましたけど、私もやっぱりそうでした。娘(まゆこ)が母親の再婚を聞いて父親のもとへプチ家出をする。もとからちょくちょく遊びには来ていたけれど、今回はけっこう長めの家出。そこにいるのは父親ともう一人の男。この時点では、このぽっちゃり君は父親の新しい家族の息子…?とか考えた。なのに…お父さん、ゲイだったんだね…っていうこの衝撃!しかもどっちが女性的ってこともないというか、両方女性っぽい雰囲気で、性別を完全には分けれない雰囲気が出ているのがまた複雑。そして楽しいと感じさせます。そういう形もあるんだね、と。父親のことは大好きだったし、今も好き。だからこそ、本当に悲しかったし傷ついたんだよという事実を正直に相手に伝えるまゆこがかっこいいです。そして、傷ついたけれど、許しているということも、た...この感想を読む
一話完結だけど続いていくストーリー
父親がゲイでデブ専の主人公という一見すると普通の女子高生とは少しかけ離れているように見えるが、現実にはそう言った家族関係の家庭も今では少なくないと考えられるし、男性のタイプが少し変わっていてそれを友人や家族に話せないでいる女子高生もいると思う。また、彼氏の両親に会いに行った後の彼氏家族内での会話の回は、普通の日常描写型のマンガでは珍しいと感じる。母親の行き場のない気持ちやそれを家族にぶつけてしまうシーンは、母親の複雑な心境を丁寧に描いているし、母親でない人間でもこう感じるものなのかと知ることができた。全四巻でているが、第1話に比べて主人公の心の成長として、性への興味なども入ってきているため、主人公の成長ぶりにも目が離せない展開になってきている。主人公が毎回変わるがストーリーは一貫性があり、上記で述べたように一つのストーリーに対して様々な視点からの心情を読み取っていくところもこのマンガの...この感想を読む