神様のボートの感想一覧
江國 香織による小説「神様のボート」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
作品は最高、でもあとがきはちょっと・・・
ラストの解釈?そこは個々でやってください本作について語られるとき、一般読者サイトでは必ずと言っていいほどラストで葉子がどうなったのか、という点にフォーカスが置かれる。「あのひと」に会えたのか、会えなかったのか、生きているのか死んでいるのか。読んだ人間は当然考えるだろうが、クイズでもないし、結論を出すべきなら作者も書いているはずで、書かれていないという事はどうでもいいことなのだ、と私は思う。書き手側、江國香織にとってはあのシーンでこの作品は終わっているのだ。語るべきはそこではない、と私は思う。今回私が語りたいのは「あとがき」についてだ。新潮社の文庫では物語終了直後に作者のあとがきがついている。このあとがきの「狂気の物語」とか「私の書いたもののうち、いちばん危険な小説」とかの表現がまた長年の論争を呼んでいる。この解釈自体も私はどうでもいいと思っている。言いたいのは、この結末を放置するタイプ...この感想を読む
タイトルがおしゃれ
タイトルがおしゃれで気になったので買った。愛情とはなんぞや?って考えてしまうような内容だった。昔に愛していた男をいまもあいしつづける母親。その男との間に生まれた子どもをつれてる。私は母親のくせに娘のために生きずに、男を待つっていう価値観が受け入れられなくてもやっとした。最後はハッピーな感じで終わるので明るい気持ちになれる。娘は他の作品の登場人物と血縁関係にあるらしい。その作品も読んだけど、ぜんぜんそんなことは記憶になかった。それをふまえてもう一度よみかえしたいなと思った。この作者の文章はやわらかいようでしゃきっとしていて好きだなと思った。
混合
「神様はボートなんか持ってないやろ」タイトルを見たとき、「ふと」思いました。シンプルで不可思議なタイトルでよくあるパターンです。内容は、なにか人間関係がキリキリした狂気的で愛情があふれすぎていました。登場人物の一人は愛情が深すぎて変な方向へ走ってしまう。この作品が小説にありがちな「あるある」が多く盛り込まれていて、面白い反面、目新しさがないようなものでした。だがしかーし、「どうしようもなく人を好きになってしまう」というある登場人物の性格は自分自身と似ているところがあり、すごく好きです。個人的にあまり好きではない部分と大好きな部分が混合した作品でした。
待ち続ける女の行く末。
かつて「骨ごととけるほど」愛した男性を10年以上待ち続ける葉子。その男性との間に生まれた草子と2人で穏やかだけど閉じた世界にすんでいます。しかし、草子は成長するにつれて、このままではいけないと感じ、そこから飛びすことを決意します。母娘が別々の方向に進むシーンは何となくせつなかったです。そして、まさかのラスト!!このままだと葉子は報われないまま終わると思ってたので、救われました。一生に一度の愛は存在するんですね。相手も同じように想い続けているなんて奇跡じゃないでしょうか。そして、葉子が「ホリーガーデン」の登場人物の果歩と従姉妹という設定も、なんとなくしっくりきますね。2人ともなんか雰囲気似てますもん。