犬とハモニカの評価
犬とハモニカの感想
1編の中身の濃い短編小説。
表題の「犬とハモニカ」をはじめ、「寝室」「おそ夏のゆうぐれ」「ピクニック」「夕顔」「アレンテージョ」の6編からなる短編小説です。「アレンテージョ」は4人の女性作家さんが実際に旅をして短編をまとめた「チーズと塩と豆と」にも収録されています。どの短編も江國さんらしい、日常ではあるけれどそこに恋という狂気を秘めたものが盛り込まれていてすっかり江國ワールドに浸ってしまいました。アレンテージョも景色の描写がキレイで旅にでたくなるステキな短編ですが個人的には表題作の犬とハモニカが好きでした。空港で偶然行き交った人たちの日常が空港にいる時の行動などで透けて見える楽しさ、恐ろしさ。本書は川端康成文学賞にも選ばれた1冊です。ステキな短編小説が読みたいなら、ぜひオススメしたい1冊です。