体は全部知っているの評価
体は全部知っているの感想
傑作短編集
13ものお話が詰め込まれた珠玉短編集。自分がその中で最も心に響いてきたと思ったのは「本音」というお話。おいしいケーキを食べに出かけて、お店の中でついうとうとしてしまって、夢を見て、その夢が……というストーリー。もともと、非常によく夢を見る。その夢に、自分の本当の本当の気持ちはこれだったんだ! と気付かされることがある。自分の深いところにあるものが、夢を通してふと浮かび上がるというか。そんな現象が、とてもうまいこと描かれている。この夢を見たあとの主人公の行動や、その先の展開までは描かれていない。読者はただ想像するのみ。それがまた面白く、とても心に残る物語だった。