ハードボイルド/ハードラックの評価
ハードボイルド/ハードラックの感想
肌寒い梅雨のような、
ハードボイルドハードボイルドは過去の傷を癒す話で、物語の内容とタイトルに一般的イメージの違いがあるのに、なぜかしっくりきてしまうというのが読み終えた後の感想です。感情に流されまいと離別を選択して、その瞬間はきっとハードボイルドなんだろうと思うのですが、傷を癒すための旅行中の主人公の気持ちは静かにとろけ出す半熟の黄身のようで、なり損ねた堅ゆで卵のような、中身を見てみたらなんだこんなにやわらかな人物だったんだとやさしい気持ちになる作品でした。それとも、回想していくうちに気持ちが逆戻りを始めて、堅茹でから徐々に半熟、生卵へと戻ったのかもしれない。反対に、過去の自分の非情さを今時を経て客観的に評価したことで、堅さがほぐれたのかもしれない。どちらにせよ、相手の気持ちに柔軟になる変化を感じ取れる構成になっています。非日常から日常を眺める今まで生きてきてうまく流せなかった過去を消化するためにひとり旅...この感想を読む
吉本ワールド
吉本ばななさんの作品は毎回即買していた私ですが、最近は以前のように即買することはなく良く見てから買うようにしています。この作品も、いつもの感じで内容は死や超常現象的なものが混在してる世界です。相変わらずの吉本ワールドでした。現実的じゃない世界なんだけど読んでいくのめり込んでいってしまう。気がついたら小説の中に入り込んでしまう・・・。彼女の小説を読んでるといつも感じることがあるのですが、死と恋愛というどう考えても相対するものが同時に存在しちゃう所。元は同じなんだけど、それでも飽きさせないで最後まで吉本ワールドへ引き込んでしまうところに感心しました。