蛇にピアスの感想一覧
金原 ひとみによる小説「蛇にピアス」についての感想が8件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
トラウマ作品
芥川賞受賞作品もはや映画の印象の方が強いという人の方が多いのではないかと思いますが、私はこの小説を初めて手にしたのが中学三年の時で、幼さもあってか衝撃的でした。リアルタイムでその作品の迫力に圧倒され、世界観に飲み込まれ、作者の金原さんは一体どういう人生を歩んだら、こんなに残忍な描写が書けるのか、好奇心の次に恐怖が生まれたのを覚えています。グロテスクで、アンダーグラウンドで、じっくりと読むことはできませんでした。ほとんど速読で、内容は理解しているのだけれど、なるべく感情移入しないように気をつけました。高校生ともなれば受け止める許容も身についているだろうから読んでも差し支えないと思いますが、私は今でもラストにかけての暴力シーンは、言葉の一つ一つを丁寧に読むことができません。現代の芥川賞らしい作品だな、と今ではすばる新人賞、芥川賞と受賞しただけのクオリティーを理解できるまでになりました。スル...この感想を読む
卑猥
映画を見てから、この原作本を読みました。何が目的かって?「エロ」です。実際に、この原作本の内容も映画と同様に「エロ」要素が盛りだくさんでしたが、こちらは「卑猥」という言葉のほうが当てはまります。映画以上のリアリティを感じました。そして、ボクの日常とは遠い、異次元の世界も魅力的です。しかーし、唯一、舌へのピアッシングの描写は目を背けたくなるものがありました。内容を一言で言うと、淫乱女性が2人の男と同時進行で関係を持ちながら、身体改造やSM行為を及んで、弄んだり弄ばりたりと...って感じです。そして、こんなブットンダ世界でも文章が「流石」に上手く、かなり読みやすかったです。
ついていけない・・・
私は、耳にピアスを開ける事すら、怖くてできない人間なので、この話の中で最初に取り上げられる、スプリットタン(2つに分かれた舌)の話の時点で、すっかり怖くなってしまいました。でも、芥川賞受賞作品で、話題になってた小説なので、どこか良い所があるのでは…と期待したのです。やはり、こういう過激な内容は、若い著者だから書けたのかもしれませんが、途中で結末が見えてしまいます。そういう所は、もったいないなーと思いますけど、素直なオチ、とも言えましょう。主人公が病的すぎて、こういう子、いるだろうけど、ちゃんと病院に行くべきだなあ、とも思いました。架空の話である小説に、影響を受けやすい方は、読まない方がいいのでは。若い子や、心が繊細な方には、読むのが辛い話かもしれませんね。
よくわからなかった
19歳で、綿矢りささんと同時に芥川賞を受賞して話題になった作品です。年齢が近い作家さんということで興味を持ち読みました。確か、舌を裂く話だったような。自分の世界とはかけ離れすぎていて、はっきり言ってよくわからない作品でした。過激なイメージしか残っていません。私の父も当時この作品を読み「よくわからん」と言っていて、父と同じ感覚なのが私自身はショックでした。綿矢りささんの作品は、どちらかといえば普通の日常に近い感じだったのでギャップがすごかったです。舌を裂く描写が痛そうだったので、きっと映像では観れないだろうから、映画は観ないと思います。
過激だけど
この小説が芥川賞を受賞した当時読みました。そのときには、自分が見たことのない世界だったのでドキドキしながら読みましたが、そこそこ年齢も重ねた今になって読みなおすと、過激さが目立ち、奇を衒った感じがして、あまり入り込めません。きっとこういう世界は、小説や漫画や映画の中のものを、ドキドキしながら読んでいられる状態がいいのかなと思いますし、それを楽しめる年頃のうちに読んでおくのがいいのでしょう。1人の人間が長いこと愛読する作品ではない気がします。でも常に、生きながら空虚さを心に抱える若者が読んで、ドキドキできる小説として残っていくのでしょうし、そういう小説も必要なんだと思います。
衝撃はうけるかと思いますが・・・・・・
初めて読んだとき、わたしはまだ中学生でした。 けっこうな衝撃を受けたこと、いまだに覚えています。 まず、取り扱っている題材がハードなため、その時点で好きかどうか、くっきりわかれてしまうかと思います。当時のわたしは、嫌悪感が残るといった感じでしたね。大人ってこわいなーと思いましたが、今考えると登場人物は基本大人ではない人ばかりでしたね。笑 主人公のルイや、彼女の周りにいる男性二人が、刺青が入ってたり舌にピアスをあけていたりと、アンダーグラウンドな雰囲気です。世界観は素敵ですが、あまりにも現実離れしていて、入っていくのは難しかったです。 成人した今読んでも、あまりいい気分はしませんが、作者が書きたかったことや考え方は少しわかるかなーと思いました。
モラトリアムと残虐性
よく、中二病小説だと言われている。しかし、映画かもされたし、話題として読もうと思い、読んだ。刺青やスプリットタン、低めの貞操観念、将来の見えない感じ。若い世代だと共感できる部分のある人が多いのではないだろうか。だらしないことが嫌いな人は読んでいてイラついたりするかもしれない。私は刺青にも人体改造にも嫌悪感がないのでなんとも思わず読めた。まあこういう人もたまにいるよね、っていう印象。雰囲気を楽しむ小説だとおもう。文章がとても読みやすい。小説はあまり読まない、というような人でも読めるだろう。中学生など、影響されやすい年頃には読むべきじゃないと思う。
衝撃の連続
第130回芥川龍之介賞を受賞した金原ひとみの小説作品です。吉高由里子主演で映画化し、テレビでも話題になったため知っている方も多いかもしれません。私は映画を観る前に原作を読んで予習したい性格なので映画を観る前に蛇にピアスを読んでいました。主人公のルイは同棲しているアマのスプリット・タン(蛇のように舌に二股の切れ目を入れること)身体改造に興味を持ち始めます。舌や顔中にピアスをあける、身体に刺青を入れる…自分の身体を痛めつける行為に心が苦しくなりました。現実では考えにくい歪んだ愛情に私は絶句してしまいました。恋愛も人生もその人の自由だけれど私は主人公に幸せになってほしいと心から思ってしまいました。