O嬢の物語の評価
O嬢の物語の感想
少し怖くなる強烈な印象を残す作品
読後も登場人物の印象はあまり残っていない。過激でエッチなお話というイメージがあったけれど、読んだあとに言いようのない静かな恐怖感を覚えた。ふとしたことがきっかけで「性の奴隷」となるべく調教されていくO嬢、その調教課程も恐ろしく思えて、なぜ彼女がその気になったのか理解できなかった。いろいろな責め道具などもでてきたりするけれど、性描写というよりは「いったい何のためにこんなことをするのだろう。」という疑問がわく展開となっている。一番最初に読んだあとに覚えた恐怖感、それはきっとどんどん自分を意志を失い、他者によるコントロールを受け入れていく課程が怖かったのではないかと思う。しかもその課程にいたるまでの調教を自らの意志で受けるのだから怖さもいっそうだ。私の理解はあまり深くないので恐怖感だけが残ったが、いわゆる精神世界の研究のような本当はもっと深く考えることのできる人向けの作品なのだと思う。