浮世の画家の評価
浮世の画家の感想
大人の態度と尊厳
戦時中に政府側の絵を書いていた著名な画家が戦後隠遁生活をして、静かに家族を見守って生きていこうとするところから始まります。戦時中の自分の仕事のせいで娘の見合いがダメになったり、そのせいで色んな人が離れていったり、人生の悲哀を感じさせます。しかし、主人公は毅然とした態度で、特に主張することもなく、これが古き良き本当のプライドなのだなと感じました。物語自体も静かに進んでいくのですが、戦後復興していく昭和の町を歩いているような気分になります。作品は英語で書かれたものなのですが、実にうまく訳されていて、日本人が書いたものだと言われれば疑いようのない出来になっています。現代の大人が無くしてしまった、大人のプライドと尊厳を思い出させてくれる作品です。