間違いなく吉田修一の代表作
現代の若者が生き生きと描かれた作品この「東京湾景」は主人公である亮介と涼子(美緒)のそれぞれの目線で話が展開していく。亮介の目線から見た二人の関係や仕事、涼子(美緒)の目線から見た二人の関係や仕事、それぞれが吉田修一の特有の丁寧な風景描写で表されて、そしてその二つの話がリンクするところには彼の手腕が感じられた。亮介は仕事はきちんとやるもののそれほど熱心なものを感じてはおらず、ただ毎日過ごしていっている生活だった。そこで暇つぶしに登録した出会い系サイトで、涼子という女性と出会う。この出会った場面の描写は、この2人のぎこちない様が目に浮かび、なにやらこちらまで気恥ずかしい気分になったくらいだった。出会い系サイトを利用したことはないのだけれど、個人的には怪しいイメージしか持っていない。でもこの2人の出会い方を見るとなんとなく初々しげで、そういう出会いも一つの手なのかなと思ったりした。亮介と涼...この感想を読む
4.04.0
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