花宵道中の評価
花宵道中の感想
複雑に絡み合う吉原の女の道がおもしろい
短編集かと思いきやすべてがつながったストーリー吉原の遊女である八津を中心として、過去、現在、そしてその後と描かれていくストーリー。自由奔放だった八津が、いろいろな人の人生にふれてどんどんたくましくなり、姐さんになっていく。その姿がかっこよくもあり、悲しくもありました。いったい何人の女が苦しい思いをして、使われるだけ使われて捨てられていったんだろうね。そんな時代が確かにあったということ、実際に歴史として起こったとされている出来事にもなぞらえながら、その時生きていた遊郭の女たちの人生を描き出してくれています。まず読んで気づくと思うのですが、みんな同じ顔じゃないか…?誰が誰だか、そのとき横に名前が出てなければわかりにくい…茜や朝霧はわりとわかりやすかったと思うのですが、水蓮と八津は強気なところも似ていたりしてほとんど違いがわからない…表紙や扉絵の美しさは目立つのですが、本編では男たちをもとに...この感想を読む
恥ずかしい仕事だけどプライドと愛がある
それぞれの女の道は男でつながっている遊郭に生きた女たちの物語。おもしろいのは、ただその時の悲しみや苦しみを描いて終わるのではなく、過去といま、そしてこれからを見せてくれるストーリー展開になっているところだろう。主人公は八津であるが、他の女郎たちの存在なくしては彼女の成長はあり得ないのであり、短編の全部が大事なパーツになっている。吉原の遊郭で、楽しい思いをする男たち。そこにどれほどの女たちが苦しい思いをしてサービスしていたのか。それを悲しくいたたまれないことだと考えていたけれど、この「花宵道中」を読むと、世の中それが大事なのかもしれないとすら思えてくる。ストーリーは好きなのだが、イラストがね…。みーんな同じ顔なんですけどどういうこと?名前が出てきてもすぐに理解できないくらい、水蓮や八津はそっくりそのまま。対象となる男たちで判断するしかないのだが、これはメイクが同じだからそうなっているの…...この感想を読む
いつ読んでも泣ける『花宵道中』
5巻で終わりだと思っていたとある晴れた日、時代劇っぽいのが読みたいな、と本屋をぶらぶら探していた時。ドラマ化や映画化されているのにちゃんと読んだことがなかった、よしながふみ先生の『大奥』にしようかなぁ…と悩んでいるとき、その表紙が私の目に飛び込んできました。うつろな瞳、なまめかしい唇、暗い中に浮かび上がった美しい遊女の姿。それが『花宵道中』でした。即購入、即帰宅、即読して、ぶわっ。涙が止まらなかったです。1巻を読み終えてすぐ本屋に戻り、5巻まで買いそろえました。全巻揃っていてよかった、大人買いできる小遣いがあってよかった、と思いました。ちょうど海外に転勤する予定の友人に貸したら、彼女もこの作品をいたくお気に召したようだったので、餞別代りにあげてしまった。そうしたらこの前、本屋で6巻見つけてびっくり! 「ええ~!? 5巻の帯に「完結」って書いてあったじゃん」って、つい声が出ちゃいましたよ、小声...この感想を読む