幽霊列車のあらすじ・作品解説
幽霊列車は推理小説でその名前を広く知られる、赤川次郎の幽霊シリーズの中の一作品である。この作品は一連のシリーズの第一作目であり、1978年の6月に文藝春秋で発表され、1981年には文春文庫で単行本が発行された。またこの作品は、第15回オール読物推理小説新人賞を受賞した、文字通り赤川次郎氏の輝かしいデビュー作でもある。この作品のあらすじは、山間の温泉街に向かった列車から八人もの乗客が忽然と姿を消すところから始まる。そしてこの難事件に立ち向かう警視庁捜査一課の警部と、偶然に何故か警部と鉢合わせる推理マニアの女子大生の不思議なコンビがが謎を解いていくという物語の展開が見どころである。 この幽霊シリーズの小説作品は、テレビ朝日系の2時間ドラマ、土曜ワイド劇場でも実写化され、1978年から1984年前9回にわたり放映された。またラジオドラマやゲームとしてもリメイクされ、いまなお根強い人気のある赤川次郎氏の小説作品の一つである。
幽霊列車の評価
幽霊列車の感想
ベストセラー作家のデビュー作
赤川次郎と言えば今では誰でも知らない者はいないベストセラー作家ですが、本作は著者がデビューするきっかけとなった一作です。読んでみて驚くのは、著者のこの時点で既に「完成」していることです。作家というのは人によって、最初は未熟だったり、作風が大きく変わっていったりと様々ですが、赤川さんに至っては最初から同じです。最近書いたものと言われても区別がつかないぐらいです。語り口の軽くてユーモアのあるところ、魅力的でおしゃまなヒロイン、中心となる謎……。本作は後年のベストセラー作家になってからよりも丁寧に作りこんである感があります。赤川次郎の作品のファンであるならば、絶対に外せない一作として自信をもっておすすめですます。