日本におけるキリスト教信仰を問う物語 - 沈黙の感想

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沈黙

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日本におけるキリスト教信仰を問う物語

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演出
4.5

キリスト教宣教師が鎖国を始めていた日本に密航して捕まり、当時吹き荒れていてキリシタン弾圧の中で、キリスト教信仰そのものを問い詰めていく物語です。 日本という東洋の国で、異質なキリスト教が果たして根付くことができるのか、過去のキリシタン信仰のあり方、宣教師自らが自分の抱いていたキリスト信仰への疑問などもひっくるめて向き合うことを迫られます。 日本人キリシタンに過酷な弾圧が加わる中で保たれている神の沈黙。裏切り者の弟子であるキチジロー、信仰を捨てた仲間のフェレイラ神父…… 他の日本人信徒を救うためにも棄教するかどうかを迫られ、日本側の奉行の対話の中でも自身の信仰と向き合うことを迫られ、最終的に苦渋の決断を下します。 本来のキリスト教信仰とも異なり、自身の信じるキリスト教徒のあり方に行き着いた主人公。 日本人とキリスト教というテーマに関しても重いものを感じさせますが、話の構造自体はかなりドラマチックで小説という形式の持つ良い点がよく現れていると思います。

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