玩具修理者のあらすじ・作品解説
玩具修理者は、小林泰三(こばやしやすみ)が書いたデビュー小説で1995年に第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞している。角川書店より1996年4月に出版され、同作は15万部を超えるベストセラーとなっている。 この作品は、喫茶店で女が昼間からサングラスをかけ目元を隠していることに疑問を持った男が、なぜそうしているのかとその理由を問いただすところから始まり、会話だけで話が進んでいくホラー小説である。近所に住んでいた何でも直してくれて子供だけが知っているその修理屋の男のもとへ、女は壊れたおもちゃではなく歩道橋から落ちた拍子で死んでしまった弟と傷ついた自分を修理してもらうために訪れる。修理屋の男は壊れたおもちゃと死んだ猫を横に置き、奇妙な掛け声をかけながら修理をし弟は生き返ったが、その後で衝撃のラストが待っている。 1998年11月に角川コミックスよりMEIMUにより漫画化され、2002年1月には田中玲奈主演で映画化された。
玩具修理者の評価
玩具修理者の感想
小林泰三氏の作品でも読みやすいもの
壊れてしまったおもちゃをなんでも直してくれる玩具修理者。ある日、私が過って弟を殺してしまった…。親に知られたくはない。でもどうすれば…?そんなときに、玩具修理者のもとへ連れて行って見ると…なんと弟は生き返ってしまう。しかし、その弟は…という物語です。生と死の物語で怖さを与えてくれた作品です。どんどん物語に引き込まれてしまい、どんどん読み進められました。こちらの物語は短めで、他の収録されている物語の方がボリュームがあります。小林泰三さん特有のグロ怖さは控えめな読みやすい作品となっています。ファンにはちょっと物足りないかも。しっかりとした設定で読み応えもありました。
理科系が描くホラー小説
作者の小林泰三さんは私の好きな作家のひとりです。書店で小林泰三さんの作品を見かけると手にとり内容も良く確認しないままレジに持っていくほどです。小林泰三さんの作品は今まで幾つか読んで来た経験から特に内容を確認しなくても失敗はないと判っていますので安心して購入できます。小林泰三さんはバリバリの理科系の方でもっとSF小説を書いて欲しいと私は思っていますがホラーも楽しく読めます。本作品も小林 泰三さんが描く独特の世界を楽しめるホラー小説です。読みながら描かれた場面が映像として頭の中に出てきます。映画やドラマにしても面白いだろうなと思いながら小林泰三さんの作品をいつも楽しく読んでいます。
最後まで、ハラハラ。
この本は、第2回日本ホラー小説大賞の短編賞を受賞した作品です。大賞を受賞しただけあって、本当に怖いです。短編であるのに、ぐっ、と引き寄せられ、不気味な世界へ浸ることができます。タイトルの通り、玩具修理者にお願いすれば、どんなものでも修理してくれます。自分は、話の内容もさることながら、その玩具修理者が修理する際の発する言葉が、気持ち悪くて、とても怖いもの、とドキドキしながら読んでいました。そして、最後まで飽きさせない展開で、最後の一行まで、ハラハラします。話に登場する姉と弟。あなたなら、この二人の最後をどう読むのでしょうか?自分も、もう一度読み直したいと思います。