しゃばけの感想一覧
畠中 恵による小説「しゃばけ」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
しゃばけシリーズ第一作目
畠中恵さんのしゃばけシリーズ第一作目「しゃばけ」。江戸時代を舞台に繰り広げられるミステリー仕立ての愉快なお話。江戸有数の大店長崎屋の一人息子、一太郎が主人公です。いつもまわりに気遣われてしまうほど病弱なんだけれどハンサム、そして大金持ち。でもただの甘ったれのお坊ちゃん・・ではなく頭脳明晰で心優しい人柄がとっても魅力的。弱くても、逃げないで対決する芯の強さ。素直でまっすぐな強さも持ち合わせた若旦那。すっかりファンになりました。若旦那に仕える実は妖(あやかし)の仁吉と佐助とのコミカルなやり取りが笑えました!ドラマ化されているので、映像でも楽しみたい作品です。
ままならない人生を放り出さない強さ
江戸時代を舞台に、大妖の血をひくそれはそれは体の弱い若旦那が、守り役の妖たちと謎解きをする『しゃばけ』シリーズの1作目です。江戸時代が舞台なので歴史小説のカテゴリーにも入りますが、文体はいたって平易、難しい言葉もあまりなく読みやすいので、現代ものをよむ感覚で読めると思います。妖がたくさん出てきますが、怪談という雰囲気ではなく、ちょっと個性的すぎる友達という感じなので、怖いものが苦手な人も平気です。主人公の若旦那は、元気でいるより病気をしている時間が長く、仕事はしたくてもさせてもらえないという病弱の極みのような人で、その幼馴染の菓子屋の息子は菓子作りは好きなのに一向に腕が上がらないという人です。どちらも順風満帆とは言えない現実を抱えています。それでも、互いのことを思い、前向きに日々を送っています。一方、この作品の事件の元凶は、付喪神になれそうでなれなかった妖が己の欲望をかなえる霊薬を求め...この感想を読む
読みながらニコニコしてしまいます。
病弱で何かあるとすぐ寝込んでしまうひ弱な若旦那と大甘な両親、お世話をするのは妖達・・・ちょっと変わった江戸時代のお話第一弾です。江戸時代の話で決して微笑ましいことばかりではなく中には生々しい事件も出てくるのですが、若旦那と若旦那を取り巻く人?妖達のおかげで微笑ましい話になってしまいます。文章もわかりやすく、さくさくと読み進めていけます。今では妖怪はいない、空想上のものだとされていますが、むかしは妖怪は普通にいるもので、普通に私たちと共存し一見したら見分けがつかないと思われていましたが、この話を読んで、これだけ妖怪と人間が混在していると私が接しているコンビニ店員・・・まさか!と一瞬疑いたくなってしまいます・・。
若旦那と妖怪たちの物語
江戸時代を舞台にした身体の弱い若旦那が主人公です。色々と訳がありこの若旦那の周りには様々な魑魅魍魎・妖怪・物の怪が集まってきます。怖い物の怪も出てきますが基本的にはみなん気の良い妖怪たちです。身体の若旦那の身の回りの世話を細々と焼く妖怪もいたりして若旦那と妖怪たちの交流も読んでいて楽しめます。この妖怪たちと若旦那の周りで色々な騒動が待ちあがります。なかには血なまぐさい事件も起こります。そんな出来事を若旦那と妖怪たちが協力して解決していきます。江戸の風俗や町の様子、江戸に住む人々の日常生活が描かれています。時代小説に馴染みの無い方でちょっと時代小説を読んでみたいと思っている方には気軽によめる時代小説としてお勧めです。