悪人の感想/考察/ネタバレ

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小説レビュー数 3,368件

悪人

4.604.60
文章力
4.60
ストーリー
4.40
キャラクター
4.50
設定
4.70
演出
4.40
感想数
5
読んだ人
8

悪人の感想一覧

吉田 修一による小説「悪人」についての感想が5件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。

今、私たちが生きる日本のリアルを浮き彫りにし、単純な事実の中に複雑な人間の真実を見すえた 「悪人」

吉田修一は芥川賞を受賞した小説家だ。つまり、いわゆる純文学の作家であって、この小説「悪人」も、ジャンルとしてのミステリー小説ではないと思います。にもかかわらず、純文学と娯楽小説の境界を超えたところで、クライム小説として素晴らしい作品になっていると思います。作者の吉田修一自身にとっても、彼の最高傑作と呼ぶべき作品になっていると思います。事件は月並みな殺人事件である。福岡県と佐賀県の県境の峠で若い女性が殺される。この峠は、幽霊が出るという噂があるので、ホラー的な方向に進むかと思いきや、むしろ怪談じみた趣向によって、逆にこの殺人事件のありふれた安っぽさが強調されることになる。被害者の女は保険外交員で、出会い系サイトで複数の男とデートを重ね、売春まがいの行為も抵抗なく行なっていた。何という月並み、何という安っぽさだろう。だが、吉田修一はその月並みを見事に描き上げる。この絵に描いたような安っぽさ...この感想を読む

5.05.0
  • dreamerdreamer
  • 84view
  • 948文字

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