塩の街の評価
塩の街についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が4件掲載中です。
各項目の評価分布
塩の街の感想
塩の街~有川浩~
図書館戦争シリーズにて一躍名を馳せた作家、有川浩氏のデビュー作です。塩が町々を埋め尽くした世界において、東京湾の真ん中に立つ巨大な塩化ナトリウムの結晶を見た者は塩になってしまうという極限状態の中で生きる人々の生活を描いています。有川氏の後の作品でも多く見られる、いわゆるミリタリー系の要素をふんだんに盛り込んだ構成となっており、元航空自衛隊のエリートパイロットの青年と、人間らしさを求めるが故に彼を無意識に振り回してしまう女子高生の二人がメインキャラクターとなって物語は進みます。極限状態の中でむき出しになる人間のエゴ、理想を求めるがゆえに現実にぶつかり、その現実に対して何もできないという無力感、そして何かを為すために自分にとって大切な人を犠牲にできるかという問いを読者に投げかけている作品であると思います。極限状態における愛、倫理観、道徳観、人としての誇りは守られるべきものなのか。自分の関わ...この感想を読む