嵐が丘のあらすじ・作品解説
嵐が丘は、イギリスの女性小説家エミリー・ブロンテが1847年に発表した長編小説である。当初は妹アンの作品「アグネス・グレイ」とともに合本として発表されたが、1850年に姉のシャーロットにより単独で発刊された。 イギリスの荒野にたたずむ屋敷に孤児ヒースクリフが拾われてくる。ヒースクリフはその屋敷の娘キャサリンと仲良くなるが、良く思わない兄のヒンドリーに仕打ちを受け、キャサリンもまた隣の屋敷「スラッシュクロス」へと嫁いでしまう。ショックを受けたヒースクリフは姿を消し数年後復讐の鬼となって戻ってくる、という物語である。 本作品は出版当初酷評されたが20世紀に入って評価が高まり、世界の十大小説や英文学の三大悲劇に選出されるなど、今日では古典文学の傑作として知られている。 作者のエミリー・ブロンテは生涯にこの作品しか発表していないが、「ジェイン・エア」作者の姉シャーロット、そして妹のアンとともに英文学史に名前を刻んでいる。 各国で何度も映画化されたほか舞台化・ドラマ化などがされ、音楽作品にも影響を与えた。
嵐が丘の評価
嵐が丘の感想
英国文学のヒロインで有名な女性
「風と共に去りぬ」のヒロイン、スカーレットとよく比較される英文学の代表ヒロイン、キャサリン・アーンショオ。英国ヨークシャーが舞台のこの大恋愛物語はあまりにも雰囲気が暗くて重苦しく、若い読者には読みづらいかもしれない。私が最初にこのお話を読んだのは10代だったが、ドロドロというよりはヒースの荒野の雰囲気が漂うこの冷たいロマンスになじめなかった。でも不思議なことに、なぜか心に残り、たびたび読み返してみたくなる魅力があるのだ。それはスカーレットのような情熱的で向こう見ずなヒロインは、どこか憎めないところもあるのに対して、このキャサリンは激しい情熱とは別にものすごく冷静に状況を判断できる冷徹な聡明さがあることに惹かれているのかも知れないと思う。